CSの「アニマルプラネット」がおもしろい。「動物モノは強い」というコンテンツの永遠の鉄則を思い知らされるチャンネルだ。

 さて今年の夏休み映画では象(ぞう)が主人公の「ホートン~ふしぎな世界のダレダーレ」と「カンフーパンダ」の2本のアニメがやってくる。後者はドリームワークスの大作だ。ただ先に試写を見たパンダ大好き女性から苦情を1点聞いていた。それは「パンダの尻尾(しっぽ)は白色なのに、アニメでは黒色になっている」というものだ。「だからハリウッドがアジアを描いたらロクなことはない」と彼女は憤慨することしきりなのだが、それを聞いて見ると、なるほど最初から最後まで尻尾の色が気になって気になって仕方がない。

 で、調べてみると、基本、パンダの尻尾は白。例外として日本にいた上野動物園のトントンにだけ、尻尾の先に黒い毛が混じっていた……というのが正解らしい。すなわち、厳密な個体差を鑑(かんが)みればともかく、普通のパンダファンの間では「パンダの尻尾は白」というのが絶対的な通説&常識なのだ。

 ドリームワークスはそこをなぜか考慮しなかった。うっかり間違いか、(尻尾の黒い)たれぱんだを模写したか。子供がパンダを描くとき、尻尾を何色に塗るか……ちょい心配になる。

 まさかそれが今回の一部中国での「カンフーパンダ」上映延期理由ではないと思うが……。

(文/エンターテインメント評論家 麻生 香太郎)

【初出】日本経済新聞、2008年6月28日夕刊
※「テレビの壺」は麻生香太郎氏が日本経済新聞、土曜日の夕刊に連載中のコラムです。日本経済新聞に掲載後、麻生氏および日本経済新聞社に許可を得て転載しております。

著者

麻生香太郎(あそう こうたろう)

大阪市生まれ。東京大学文学部卒。在学中に歌謡曲の作詞家として活動を開始。森進一、野口五郎、小柳ルミ子、小林幸子、TM NETWORKらに作品を提供した。その後、80年代半ばにエンタテインメントジャーナリストへと転身。以来、20年以上にわたって業界をウォッチし続ける。現在は「日経エンタテインメント!」「テレビ・ステーション」などで連載コラムを執筆中。著書に『ジャパニーズ・エンタテインメント・リポート』(ダイヤモンド社)など。