顔面写真をビリビリに破いて再構成し、独自の“顔面コラージュ”を作り上げることで知られるイラストレーター・木村タカヒロ氏。2000年に東京・渋谷のパルコギャラリーで開催された「Faceful」をはじめとする数々の個展を開く一方で、フジテレビ系で放送中のバラエティー番組「ザ・ベストハウス123」のオープニングアニメーションを手がけるなど、近年はアニメーションの分野にも進出している。木村氏の運営するサイト「KIMSNAKE」は、Flashアニメサイトとして有名だ。

 アナログの世界とデジタルの世界とを自由に往来しつつ、独自の世界観を発信し続ける木村氏に、独自の作品を生み出した背景について聞いた。(聞き手:山本知子)

1mmのせめぎ合いの中で生まれる独自性

――なぜ「顔を描く」ことに注目されたんですか?

 最初は、ペインティングで顔面画を描いていました。たくさん描いているうちに、オリジナリティーは出てきたのですが、同時にパターン化もしてきて、どれも同じような顔に見えてきたんですね。それで、手描きでは絶対に出てこない輪郭や、目や鼻や口の組み合わせってないものかと、コラージュを始めたんです。

「顔」をメインモチーフに活躍中の木村氏だが、人間の内面を表現したいとは思わないと言う

――パターン化の打開からコラージュが生まれたということですか。

 そうですね。いろんな顔面写真をビリビリ破いて、ぐちゃぐちゃに組み合わせたら、とても面白い顔になったんです。目などのパーツを張るときに、位置が1mmでもズレたら全く違う表情になるんですね。その1mmのせめぎ合いの中で、独自性を表現していくことに興味を持ちました。

 制作行程としては、素材をちぎってランダムに並べて「ココしかない」という位置を探しながら張り合わせていき、その上に絵具や色鉛筆などで描き足したり、削ったり、引っかいたりして、オリジナルの顔面に仕上げていきます。

――「ハデでキレイでカッコイイ」がモットーと伺っていますが?

 例えば、どんなに小さい雑誌カットでも、目に留まる、引きつけること(=ハデ)が大事だと思うんです。でも下品なものは嫌です。キレイでないとダメだと思っています。そして露出して人の目に触れるからには、カッコイイ作品にしたい。その思いはずっと抱いています。

木村氏の腕試し企画「顔破千顔斬り(がんぱせんがんぎり)」の1作品(画像クリックで拡大)

“顔面コラージュ”が有名な木村氏だが、もちろん全身を描いた作品もある(画像クリックで拡大)

 「もっとすごい顔」「もっと面白い顔」という気持ちで、壊して張って、壊して描いて、を繰り返しているうちに独自のコラージュが生まれてきたと語る木村氏。そのような手法で顔面コラージュに取り組んでいるアーティストはほかにいない。