「“新書”最前線」は、日本で最も新書に詳しいWebサイト「新書マップ」の協力で、注目すべき新書の新刊を紹介するコーナーです。各社合わせて毎月80〜100点ほど出版される今いちばん元気な出版物「新書」のトレンド情報を、月1回のペースでお届けします。

 小学生ぐらいの子どものいる人なら「モンスターペアレント」と聞けば「もしかしてあの人のことかな?」と、すぐに具体例が思い浮かぶのではないだろうか。子どもがいなくても、連日新聞などをにぎわせている給食費未払い問題なら知っているだろう。何かと難癖をつけて給食費を払わない親たちこそ、モンスターペアレントの代表例。教育の現場ではいまや、この言葉が流行語のようにさえなっている。

 すかさず春の進学シーズンにあてて、このモンスターペアレントに関する新書が数点発行された。ここでは『親たちの暴走 : 日米英のモンスターペアレント』(朝日新書)、『バカ親って言うな! : モンスターペアレントの謎』(角川oneテーマ21)、『凶暴両親』(ソフトバンク新書)の3冊を紹介しよう。

「保育園の保育士」にヒントあり?

尾木直樹『バカ親って言うな! : モンスターペアレントの謎』
(角川oneテーマ21/720円)(画像クリックで拡大)

 モンスターペアレントは給食費未払いに限らず、いろいろ困ったことをしでかす。事例はどの本にも載っていて、例えば……

  • 「自分の子が主役になれないなら学芸会を欠席させる」とねじ込んできた親が何人もいたため、桃太郎が16人になってしまった。
  • 禁止の携帯電話を見つけたのでルールにしたがって2週間預かったら、その間の日割り料金を学校に請求された。
  • 夏休み前だとツアー料金が安いからと学校を休ませて海外旅行に連れて行った。
  • 卒業アルバムに他の子と比べて自分の子があまり写っていないのは不公平だと言ってアルバム代金の返金を迫られた。

 などなどキリがない。とびきり変なエピソードだけ抜書きしたわけでもない。どの本にも似たり寄ったりのケースが載っているところからすると、この程度は「ふつう」のモンスターペアレントなのだろう。

 そんな彼らを手際よく5タイプに分けてみせたのが『バカ親って言うな!』だ。その5タイプとは、(1)我が子中心型、(2)ネグレクト型、(3)ノーモラル型、(4)学校依存型、(5)権利主張型である。

 これにあてはめると、桃太郎ケースは(1)、携帯電話の日割り料金請求は(5)、平日に海外旅行が(3)、アルバム返金要求は(1)と(5)の混合型となる。

 著者は私立高校と公立中学の教師を経て大学教授となり、ここ数年は全国の教師や保育士を対象にアンケートや聞き取り調査を行ってきた人。この本には独自調査によって吸い上げられた生々しい声が満載である。

 例を挙げ、分類してあるだけでなく、いつごろからなぜこのような親が増えてきたのかという分析や、解決のための道筋についてももちろん書かれている。

 今回紹介する残りの2冊に書かれていなくて最も興味深い点は、保育士たちの回答とそこから見出される解決法の一端だろう。保育園では毎日の送り迎えで親と顔を合わせるので、学校に比べてコミュニケーションの密度が濃い。その中で保育士たちがモンスターペアレントをどのように見ているか、日々のやりとりを通じてお互いにどのように変化したかといった具体例も語られている。学校の教師たちには大きなヒントになるのではないだろうか。