
「CMクリエイター」と呼べば、「華やかなギョーカイ人」と思われがちだが、その実態は全く逆。その名が表舞台に出ることはまれだ。
「クリエイター・オブ・ザ・イヤー」(*1)をご存じだろうか。社団法人日本広告業協会(*2)の会員社が受け持った過去1年間の広告から、最も優れたクリエイティブ活動を行ったクリエイターが、CM界の指折り実力・経験者の審査で選ばれ表彰される。今年はクリエイター・オブ・ザ・イヤー1名、審査委員特別賞1名、メダリスト9名が選ばれた。
クリエイター・オブ・ザ・イヤー賞受賞は、佐藤義浩氏(電通/第3クリエーティブディレクション局)。代表CMはリクナビ(リクルート)の「山田悠子の就職活動」。主役は就職活動中の女子大生・山田。彼女を見守るのは、青いTシャツを着たサッカーのサポーター風の若者たち。サッカー中継さながらに、失敗続きの山田に声援を送り続ける。「♪山田山田山田、山田を愛してる」の合唱もユニーク。就職活動が続き、ようやく内定ゲットの瞬間、大歓声を上げる彼らに、視聴者も思わずガッツポーズ!? 短編映画を思わせる、感情移入どっぷりのストーリーCMだ。
が、この名作を記憶している方は、あまり多くない。当初、リクルート1社提供の番組内で、前半戦編・後半戦編の2作品がオンエアされたが、放送回数はわずか8回だった。CM総合研究所が実施する月例CM好感度調査(2007年2月度)では、「自然視聴者3000人の実感の純粋想起方式」だから、視聴機会の少なさゆえに、一般視聴者の好感度はいまひとつだった。前半戦編が総合1141位、後半戦編が総合681位。(全オンエアCM4350作品中)。支持した年齢層は20、30、50代の男性のみだった。
ところがオンエア終了後、映像が動画サイトにアップされ、WEB上で口コミが広がるなど、実際のオンエアを見ていない人をも巻き込んで、ジワジワと反響を呼んだ。CMの作品力が持続的な“広告外効果”を発揮した成功事例と言える。優れたクリエイティブ力はもちろんのこと、テレビCMとWEBとの相乗効果をゲットしたという点でも、今年度を象徴するムーブメントとして注目が集まった話題作だ。
このほかにも佐藤氏の手がけたCMで、最も高い好感度を獲得したのは、森永製菓「おっとっと」の「僕の私のタマの編」がある。ノンタレントCMでありながら、月例CM好感度調査(2007年3月度)では、みごと総合7位。(全オンエアCM4398作品中)。「おっとっと」を取り合う兄妹に名前を書けと言う母親。すると飼い猫が「タマ」と書いてしまう、ほほ笑ましいユーモアCM。小中学生男女を筆頭に、全年齢層から好感された。「ユーモラス」「ストーリー展開」「かわいらしい」の好感要因では、全4398作品中の2位という快挙を成し遂げた。
*1 「クリエイター・オブ・ザ・イヤー」
社団法人日本広告業協会の会員社が受け持った過去1年間の広告コミュニケーションの中から、最も優れたクリエイティブ活動を行ったクリエイター個人を表彰する賞。平成元年設立以来、今年で19回目。今年は各社から31名(22社)のクリエイターが推薦され、審査結果が3月14日に発表された。表彰式は5月30日。
*2 社団法人日本広告業協会
広告会社165社を会員組織とする業界団体。多くの委員会を組織し活発な活動を展開。この賞については、広告会社のクリエイティブの重要性を主張し、日本のクリエイティブの向上を目的とする「クリエイティブ委員会」が運営。











