
ホテルニューオータニ(東京)が、1479室のうちメイン(本館)11−12階の87部屋を「和モダン」をコンセプトとする「エグゼクティブハウス禅」としてオープンした。「フロア」ではなく「ハウス」と称したのは、単なるラグジュアリー化を進めただけではないことを意味する。「ホテル内ホテル」、つまり、新しいターゲットに向けて「別ホテルを造ったぞ」というコンセプチュアルなメッセージなのだ。
「禅」の戦略は、05年から同ホテルが進めていた「ハイブリッドホテルプロジェクト」の成果。11−12階という中高層階で「ハイブリッド(デュアル)ターゲット化」を図るために想定した顧客層とは、外資系企業の在日・訪日外国人である。日本人以外のエグゼクティブにも利用してもらうために、日本の精神性のひとつの象徴である「禅」をデザインで表現。墨色・鼠色・金色を多用したほか、「我唯知足」(我、ただ足るを知る)の精神にのっとり、CO2排出量を70%削減した環境に配慮する客室を作った。窓ガラスは紫外線や熱を50%カット。廃熱を大幅に削減できる新空調システムを取り入れた。おそらく、外国人客比率が高まればニーズが高まる「ノンスモーキングルーム」も増えたことだろう。
実は、ハイブリッドのもうひとつの意味(こちらが真の意味に近いだろうが)とは、ハードウェアに依存する「快適性」のほかにも、「環境保護」を両立しようという経営意思にある。たとえ、そこがいかに豪華なラグジュアリーフロアであっても、エネルギーを無駄に使い、高価なアメニティを使い捨てにし、食材を食べ散らかすことが美徳とは思えない。そうした感覚が共有できる「エグゼクティブなホテル」を目指したいという理念のシンボルとして、「禅」は造られたのである。13階以上の高層階はスイートフロア。より単価の高い豪華なフロアは残しながら、環境を強く意識したホテルが「ホテル内」に誕生した。
このような「ホテル内ホテル」という発想が、実は旅館にも取り入れられ始めている。











