正直言って、すごく待った。キヤノンEOS-1Ds MarkIIIを注文したのは昨年11月。納品となったのが今年3月末だった。残念ながら個人機材ではなく、日経BP社制作室の共通機材としての購入である。あまりにも納品されないので、他社のカメラを先に買おうと思ったぐらいだ。だが、贅沢は言えないもので、筆者の周りには、まだ納品を待ち続けているカメラマンが数人いる。なぜ、ここまで人気を集めているのか。数回にわたって、EOS-1Ds MarkIIIの実力を検証することにした。

 最大の特徴は35mmフルサイズ、約2110万画素のCMOSセンサーを搭載したことだ。A2サイズのプリント原稿として使っても問題はなく、画像処理で工夫をすれば、身長164cmの小林恵美さんの等身大プリントが作れる。早速出力センターに写真原稿を持ち込んでプリントアウトしてもらおうかと思ったが、貼る場所が思いつかない。機材を収納するロッカーに貼っておくのも手だが、いつも監視されているようで落ち着かないだろう。話が逸れてしまった。それぐらい大きなデータ量を持っているということだ。

ISO200、f2.8、1/50秒で撮影。この感度なら文句のつけようのない描写が得られる。ただしピンボケと手ぶれは当然ながらカメラマンの責任だ(画像クリックで拡大)

コントラストのきつい被写体にチャレンジ。ISO800、f4.0、1/250秒で撮影。レフ板で光を補っているが、ソファの背の部分はとんでしまった。ダイナミックレンジが広いといっても限界がある(画像クリックで拡大)

 まずは描写力をチェックするために、ズームレンズではなく単レンズで試写することにした。選んだのはEF50mm F1.2LとEF135mm F2.0Lの2本。外光がふんだんに入るハウススタジオで、いざ撮影を開始。覚悟はしていたが、2GBのCFカードにRAWで75カットしか記録できない。フイルムにして2本分だ。タレント撮影のときは、フイルムを最低でも20本ぐらいを用意するのが普通のこと。単純に計算すると、CFカードなら、10GB分を用意しなくてはならなくなる。もし、RAWだけではなく同時にJPEGラージサイズでも記録するとなると、2GBなら60カット程度しか撮れなくなる。

 準備はぬかりなく、4GBのカードを2枚、8GBのカードを1枚購入して持って行ったが、万全というほどではなかった。画像処理にかかる時間が短く、フイルム交換などの手間がないため、あっという間にカードいっぱいに撮影してしまう。キヤノンの説明によると、映像エンジンのDIGIC IIIを2個搭載しており、従来の4倍の処理能力があるとしている。高画質の高速連写という経験はない。たとえるなら高速で巻き上げるハッセルブラッドを手に入れた気分と言えば分かってもらえるだろうか。もっとかみ砕いて表現すれば、高級なフレンチレストランばかりに行きたがる美人の彼女がいると思ってもらえばいい。うれしいけれど、とにかく大変なのである。