「“新書”最前線」は、日本で最も新書に詳しいWebサイト「新書マップ」の協力で、注目すべき新書の新刊を紹介するコーナーです。各社合わせて毎月80〜100点ほど出版される今いちばん元気な出版物「新書」のトレンド情報を、月1回のペースでお届けします。
日本のプロスポーツといえば、ワールドカップ予選の始まったサッカーや、有望新人が目立つゴルフ、テニスに比べて、野球はひところほどテレビで中継もされなくなり人気が失速しているかのようにも見受けられる。ところがどっこい。年間観客動員数はいまだ不動の1位。その数、サッカーの実に3倍強もあるのだ。
「プロ野球ファン」というすでに確立されたマーケットを、新書マーケッターたる編集者たちが見逃すはずはない。球春到来、すわっ好機! ということでこの春には、なんと5社から6冊もの野球ものの新書が発行された。
このうち『高校野球「裏」ビジネス』(軍司貞則著/ちくま新書)、『楽天が巨人に勝つ日』(田崎健太著/学研新書)、『メジャーの投球術』(丹羽政善著/祥伝社新書)は、ノンフィクション作家やスポーツジャーナリストによる取材もので、いわゆる“外から”野球を論じた本。ここでは、プロ野球の「中の人」が書いた3冊を紹介したい。3人とも選手として好成績を残し、その後それぞれに持ち味を活かして今も野球の世界で活躍している人たちだ。
【捕手→監督】野球哲学が伝わる、新監督の「所信表明」
まず1冊目は、ヒルマンの後を継いで今季、北海道日本ハムファイターズの監督に就任した梨田昌孝の『戦術眼』。ヘッドコーチに二軍から持ち上がりの福良、ピッチングコーチに吉井、三塁ベースコーチに真喜志を迎えての新布陣を率いる新監督は、本書冒頭で「結果を出すのは2年後」と明言している。ある意味この本は、所信表明でもあると書いている。
現役時代は捕手として活躍しただけに、“目”は確かだ。この本にも、人を見出し育てる目、組織を作る目、ゲームを動かすための目、そして自らの成長を促す目などについて、数々のエピソードを交えながら書かれてあり、彼の野球哲学がよく伝わってくる。その印象をひと言でいうなら、清廉かつバランスの良い人。日ハムのチームカラーともぴったり合っているのではないだろうか。2年後と言わず今期から、期待を膨らませてくれる1冊だった。











