長年、ニコンの一眼レフカメラを使い続けている星カメラマンが、ニコンの最新デジタル一眼レフカメラ「D3」と「D300」の長期リポートに挑戦。スポーツ競技を撮影する機会の多い星カメラマンにとって、D3とD300のオートフォーカス性能がどれだけ進化したかがとても気になる部分なのだ。

 D3やD300の世代になって大きく変化したのが、オートフォーカスの部分だ。オートフォーカス用のセンサーモジュールは、D3がマルチCAM3500FX、D300はマルチCAM3500DXを採用している。ともに、フォーカスポイントの数は51点で、世界最多だという。

 いくらフォーカスポイントの数が多くても使えなければ意味がないのだが、Jリーグのナイトゲームぐらいの明るさがあればビシバシとピントが合い、クロスタイプではないフォーカスポイントでも正確さは十分確保されているように思える。ただし、いろいろな試合で使ってみた印象では、黒や白のユニフォームに若干の苦手意識があるようにも感じられたのだが…。

香川県の府中湖は、日本でも有数のカヌーコース。この日も、全国から有力選手が集まっていた(D3+AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)にて撮影、ISO200、1/1000秒、F8、9点ダイナミックAF)

 これまでの機種にも搭載されていたAFロックオン(撮りたい被写体の前を何かが通り過ぎても、ピント位置を被写体の方に固定させる機能)に加えて、AFエリアモードが3つ用意されている。このうち、ダイナミックAFモードのエリアは9点から51点まで4種類もあり、AF関係の組み合わせは多岐にわたる。

 なかでも、被写体の動きに追従する「3D-トラッキング」は、注目の機能として鳴り物入りで登場したものだ。これは、撮影したいものに一度オートフォーカスを合わせておけば、色や形を認識してその被写体を追いかけ続けるというもので、特に動きモノの撮影で有効とされている。

 シンプルな背景に1つだけ被写体があるというシーンや、フレームいっぱいにメインの被写体がある時にはかなり有効だ。例えば、記者会見の会場などでは、撮りたい人物の顔にピントを合わせておけばよい。すると、フォーカスポイントが集まっている範囲内ならば、相手が動いたり構図を変えても、顔を追いかけ続けてくれるのだ。

カヌーの大会で3D-トラッキングのテストをしてみた。奥の7番艇を狙って撮影しているというシチュエーションで、各コマの赤い枠がピントを合わせていたフォーカスポイントだ。手前から7番艇を追い抜いていく8番艇が重なったとたん、AFポイントは手前の選手を追いかけ続けた。7番を狙って撮影しているなら思わずイラッとする場面だが、カメラの機能としてはかなりきっちりと仕事をしているのが分かる。ライフジャケットの色は違うものの、シャツはどちらも白色なので、シーン認識システムではこのぐらいが限界なのかも。この撮影の直前に撮影していたハンドボール試合のためにAFロックオンを「弱め」にしていたのも、7番艇を追いかけ続けなかった原因かもしれない