黒いブタがいる――。赤坂駅に降り立つと、いきなりブタに出迎えられた。TBSのキャラクターの着ぐるみだ。子どもたちに手を振ったり、一緒に写真を撮ったりしている。3月20日にグランドオープンしたばかりの「赤坂サカス」は、TBS放送センター周辺を再開発した、いわば“TBS村”だ。オフィス&商業棟の「赤坂Bizタワー」を核に、ライブハウス「赤坂BLITZ」、劇場「赤坂ACTシアター」などが並ぶ。

 今日の目的地は、あの銀座のグランメゾン「マキシム・ド・パリ」が赤坂サカスに出店したビストロ「ヴィエイユ・ヴィーニュ マキシム・ド・パリ」。マキシムといえば、まだ日本に本格的なフランス料理店がなかった約40年前に、日本初のグランメゾンとして誕生した店だ。その伝統あるマキシムが、赤坂サカスで全く新しい3つの店を開いたという。しかも、ビストロではマキシムの「まかない料理」を食べさせてくれるとか……。

 「さて、マキシムは……」と探すも見当たらない。赤坂サカスのレストラン群は赤坂Bizタワーの地下1階から地上2階に入っている。ところが、地図を見ると、マキシムだけは赤坂Bizタワーの外に独立して立っているようだ。いったん赤坂Bizタワーを出て、ぐるりとビルの外を迂回すると、一ツ木通り沿いにガラス張りの小さな建物が見えてきた。

 建物の外に20人ほど並んでいる。何かと思ったらパンを買うための行列だった。この建物には、1階に高級パン店とカフェ・ワインバー、そして2階に本日ランチを食べるビストロが入っている。この3業態すべてを「マキシム・ド・パリ」が運営しているのだ。

「マキシム・ド・パリ」が手がける3つの店は、赤坂Bizタワーから独立した建物に入っている。左端が高級パン店「ル ブーランジェ ドミニク・サブロン」(画像クリックで拡大)

ビストロ「ヴィエイユ・ヴィーニュ マキシム・ド・パリ」の1階入り口。店は2階にある(画像クリックで拡大)

 まずはなによりビストロへ。予約は1週間ほど前に取っておいた。右端にあるドアから入り、階段で2階に上がる。赤を基調とした店内。ナプキンもグラスも深い赤色だ。曲線が美しいソファ席がいくつも目に入る。喫茶ラウンジ風というべきか。かなりカジュアルな感じだ。オープンして間もなく、混み合っていたせいか、私が通された席は、隣席との距離がとても近い。

店内。施設内覧会時に撮影した写真(画像クリックで拡大)

 窓際には、ソファに並んで座り、一ツ木通りを見下ろす2人席もある。ドレスコードはなく、子どもも入店できるという。実際、ジャケットを着用した初老の夫婦客もいれば、カジュアルな格好の若めのカップルもいた。マキシムとはいえ、全く緊張する必要はなさそうだ。

 店の奥はオープンキッチンになっている。しかも、料理人たちのいでたちは、帽子も服も真っ黒。てきぱきと料理をしている黒い姿の向こうには外が見える。建物がガラス張りなので、向こう側も見える面白い造りだ。

 ランチコースは前菜、ココット料理、パンのコース2940円、前菜、温野菜、パンのコース2940円、前菜、スープ、メーン、パンのコース3990円の3つがある。

 メニューを読むと、ココット料理はマキシム秘伝の「まかない料理」らしい。それゆえ、料理のスタイルはフレンチの枠にとらわれず「なんでもあり」だそうだ。せっかくなのでココット料理に挑戦することに。このコース、数種類の料理から選べる仕組みで、中にはオマール海老を使ったものも。だが、さすがにこれは追加料金が必要という。なんて豪勢な「まかない料理」なのだろう。

 スタッフに聞くと、人気が高いのは鶏料理とのこと。鶏料理2種類のうち、クリーム煮の「鶏のブランケット」を選択した。

 ちなみに3つのコースのうち、「まかない」ではないのは3990円のコース。「なぜわざわざまかない料理を店で食べなくてはならないのか」などと思う人は、3990円の普通のコースを食べていただきたい。