
「花形CM」と聞いて、思いつくモノは人それぞれ。生活必需品のケータイ、アイドルの笑顔が似合うドリンク。プハーッと飲み干されるビール、かっこいいクルマ、女優が美を競い合うシャンプー等々…。
人気タレントの座が毎年入れ替わるように、「花形CM」も時代とともに変化する。過去20年間において、最もポジション変化が著しいのはクルマのCMだ。
華やかなイメージの故に、「ヒットCMの名手」と評されがちな自動車メーカーだが、その実態は厳しく、昨年の新車販売台数は3年連続で減少。生産台数は世界レベルにあるものの、国内での販売が振るわない。若者を中心とした「クルマ離れ」が業界全体の悩みだ。テレビCMにおいても、自動車業界のアップ&ダウンが見てとれる。
以下、「CM好感度」を軸に、過去20年間におけるクルマCMの盛衰を検証してみたい。
CM総合研究所では、「月例CM好感度調査」を1989年から実施している。対象モニターは首都圏在住の一般男女3000人。まず、各年度の「産業分野別CM好感度シェア」を参照願いたい。これは、東京キー5局で放送された全テレビCMが獲得した「CM好感度」を、産業分野ごとに集計したもの。「CM好感度」の総和に占める、各産業ごとの「CM好感度シェア」順に表示した。
バブル絶頂期の1989年、クルマは全20産業中の2位だった。「花形CM=車輌」と呼ばれていた時代。大物スターの起用やお金をかけた撮影手法、元気なCMトーンが特徴だ。
「街の遊撃手」こと、いすゞ「ジェミニ」は映像美で勝負。街中でしなやかにジャンプするクルマの動きが大きな話題となった。CG加工のない当時、何台もの車をつぶしながら撮影したという。トヨタ「セリカ」はハリウッドスター、エディ・マーフィーを起用。日産「ローレル」の顔は坂東玉三郎(五代目)。「時代のまんなかにいます。」のコピーが、クルマCM全体の勢いを象徴していた。
が、翌90年以降、バブル経済崩壊とともにクルマCMも曲がり角を迎える。90〜92年は20産業中の8位、93年には9位に転落。好感度下落に歯止めがかかったのは、2人の救世主が誕生した95年。
日産は、イチロー起用キャンペーンで大ヒット。コピーは「変わらなきゃ。イチロ、日産」。一方トヨタは、大リーガー野茂英雄投手を起用。「ビッグチャレンジ」をキーワードに、ハイレベルな戦いに挑んだ。
イチローVS野茂の相乗効果で、業界全体が息を吹き返した。95年、クルマCMの好感度は6位に浮上し、売り上げ台数も盛り返した。
しかし、2000年以降には8〜10位近辺に再度下落。再び低迷傾向にあった。自動車業界全体に危機感がまん延。販売不振と共に、CM界でもクリーンヒットは難しいかと思われたが、昨年より復調の兆しが現れ始めた。
最新の2007年度データでは6位に再浮上。日産「デュアリス」は「パワード・スーツ・デュアリス」に変身して都市を駆け抜ける、思い切りのよい映像でヒット。さらに絢香×コブクロのCMソング「WINDING ROAD」と言えば同社「キューブ」の“子鹿”CM。女性に受けた作品としては、YOU・柳楽優弥の親子CM、ダイハツ「ミラ」等があった。
この勢いは今年も続く。











