「ハーゲンダッツ」といえば、高級アイスクリームの代名詞。1984年、日本に上陸して、現在は高級アイス市場の8割を占める。そして2007年、その“高級”のさらに上をいく、1個300円超のプレミアムアイス市場を開いたのが、ハーゲンダッツ ジャパンの「ドルチェシリーズ」(以下、ドルチェ)だ。

 ドルチェは、2007年4月に「ティラミス」と「クレームブリュレ」でデビューを飾り、12月には「モンブラン」が登場。いずれも1個(105ml)326円という“高級品”である。ハーゲンダッツのメイン商品であるミニカップ(120ml)263円のほぼ25%増しの値段だが、4月から12月までのわずか9カ月で、これら3品でなんと53億円を販売。予想以上の売れ行きに販売目標額40億円を10億円も上積みし、その修正までも軽く上回る大ヒット商品となった。

大ヒットのツボは「スイーツの味をアイスで表現した」画期的な構造

ドルチェ開発担当の田子薫さん(画像クリックで拡大)

 なぜそんなにヒットしたのか? ――ドルチェの特徴を一言で言うと、「本格的な洋菓子(スイーツ)の味わいをアイスクリーム仕立てにした」こと。商品開発部でドルチェシリーズの開発リーダーを務めた田子薫さんに詳しく話を伺います。

 「F1層」と呼ばれる、流行に敏感な20~30代前半の若い女性をメインターゲットに開発を進めたドルチェ。そのどこがウケたのか? 田子さんはこの爆発的ヒットの理由を、「これまでにない満足感では」と分析します。

 すなわち、「リッチでクリーミーなテクスチャーや、濃厚な味わいなど、ハーゲンダッツのアイスクリームのおいしさはそのままに、スイーツのおいしさが盛り込まれている。それが本格的な味わいで、かつアイスクリームとしてこれまでにない“構造”をしている。その驚きや意外性が受け入れられているように思います」(田子さん)。

 この「本格スイーツの味をアイスで作る」って、一体どういうことなのか? 実際、ドルチェを買って食べていただくとすぐにわかるのですが、単にケーキをそのまま凍らせたイメージではない。また、ケーキの構造をそのままアイスという舞台に移したのでもない。

 「ティラミスならティラミス、モンブランならモンブラン“たらしめている”おいしさを、アイスで再構築した」(田子さん)というのです。

赤いパッケージのメイン商品「ミニカップ」と、白いパッケージの「ドルチェシリーズ」(画像クリックで拡大)