ISO6400でポートレートを撮影する。普通ならノイズだらけで、とても見られない絵になってしまう。ところがニコンD3は、高感度にしてもノイズが少ないという評判だ。本当なのかどうかを検証することにした。モデルはおなじみの小林恵美さんである。

 撮影のために選んだ最初の場所は、ハウススタジオの控え室。日没までは間があるものの、部屋の中はすでに暗く、室内灯をつけなければ文字が読み取れないほど。タングステンの光の中に座ってもらい、ファインダーの表示を見て驚いた。ISO感度を6400に設定すると、絞りはf5.6、シャッター速度は1/200秒が切れる。本当ならノイズを少なくするため感度を400に設定、1/30秒がぶれないで撮影できる限界と考えて、絞りをf4にする状況だ。4段の差というのは大きい。あとは本当にきれいに撮れるかである。

撮影場所をさらに暗い場所へ移動。それでもISO6400ならf4、1/50秒と手持ちの範囲だ。VRレンズの効果も手伝い、ぶれた写真は1カットもなかった(画像クリックで拡大)

 ぶれることを気にせず、どんどんシャッターを押せるのは気分がいい。動体ぶれを警戒して、普通なら「なるべく動かないで!」と被写体に注文を出すところだが、1/200秒なら必要ない。このため小林さんとのコミュニケーションがスムーズに進む。撮影結果を背面の液晶で確認する範囲では、十分に使い物になる。A4サイズ1ページ大の写真として誌面に掲載できそうだ。実際にはパソコンの画面で拡大してみないと分からないが、かなりの手ごたえを感じる。

 場所を階段へ移動。外光が入る量は少なく、照明も小さな白熱灯だけで、さらに撮影条件は厳しくなっている。ところがf4で1/50秒から1/100秒のシャッターが切れる。少し動きを少なくしてもらい、しっとりした絵作りを狙う。1GBのカードにデータがいっぱいになったところで、液晶画面を確認する。不思議なもので、実際に生で見ているときよりも、明るく見える。300mmを超す望遠や、24mm未満の広角と同様で、人間の視覚を超えた描写なのだろう。はっきりしなかった彼女の姿が、暗視スコープでのぞいたかのように現れる。「たそがれ」という言葉が存在価値をなくしそうな気がしてくる。