MS-IMEの日本語力が低下している?

 日本向けのパソコンには、かな漢字変換用の日本語入力システムが標準で付属している。Windowsには「MS-IME」、Macintoshなら「ことえり」だ。基本ソフトの一部としてその価格に含まれている。にもかかわらず、わざわざ市販のかな漢字変換ソフトを買う人がいる。実は私もその一人。代表的なのはジャストシステムが開発・販売している「ATOK」だ。

 MS-IMEに比べてATOKのほうが変換効率や性能が良いと思えるかどうか、人によって意見は違うだろうが、2月8日にWindows向け最新版のATOK2008が発売されたこともあり、このところネット上では、MS-IMEかATOKかという話題が多くなっている。

 「MS-IMEが不利かもしれない」として注目されたのは、元マイクロソフト株式会社の会長で現在慶應義塾大学教授である古川享氏の2月14日付けのブログ「MS IMEさらに...お馬鹿になっていく」というエントリーだった。古川氏が挙げる誤変換例が面白い。MS-IMEの変換能力はどうなっているのだろう。

検証苑
“腱鞘炎”とどうしても変換入力できないので、検索エンジンでネットにて検索してコピペしました
社零
どう変換しても“謝礼”になりません
社れ記
“社歴”も変換できません、次候補は「舎れ記」ですと...「舎れにもなっていない」と、"洒落”も変換できない...
(古川氏のブログ「MS IMEさらに...お馬鹿になっていく」より一部引用)

 こうした極端な誤変換例はアプリケーションの強制終了後に起きるだけで、常にそうなるわけではない。実際、私がWindows VistaのMS-IMEで試してみると、「健勝苑(腱鞘炎)」「謝礼」「洒落気(社歴)」となった。古川氏の誤変換ほどには笑えないが、それほど性能がいいとは思えない結果だ。MS-IMEのかな漢字変換能力に疑問を持つ人が多いのもうなずける。

 加えて古川氏のエントリーが注目されたのは、日本語MS-IMEの開発部門の一部が中国に移っているという点だった。日本語が分からない中国人が開発しているということではないが、それでも開発拠点が中国に移っていくことで、古川氏をはじめ日本人利用者の声が届きづらくなるかもしれないと懸念を持つ人もいるだろう。技術者寄りの視点としてはスラッシュドット・ジャパン | MS IMEの変換効率悪化は開発が中国にシフトしたのが原因?に寄せられた各種の意見も興味深かった。日本語を扱うソフトウエアは日本でという理想は技術者にも多いのだ。

MS-IMEの変換能力に苦言を呈した古川享氏のブログ。寄せられたコメントにも丁寧に答えていてる姿には、マイクロソフトに寄せる叱咤激励の思いがうかがえる(画像クリックで拡大)