東芝が2月19日にHD DVD事業からの撤退を表明した。これにより、HD DVDレコーダーやプレーヤーの開発と生産は中止され、製品の出荷も縮小。3月末には事業を終息させるという。国内でHD DVDレコーダーやHD DVDドライブ搭載パソコンを販売していたのは東芝のみ。このため、次世代DVDの覇権争いはBlu-ray Disc(BD)陣営に軍配が上がったといえる。

意外と静かなHD DVDレコーダー売り場

 同日の夕方、都内の家電量販店にはまだ大量のHD DVDレコーダーが並んでおり、棚の製品を見つめる客の姿も多く見かけた。ビックカメラ有楽町店本館では、相談カウンターもいたって静かで、HD DVDレコーダーを購入した客との混乱もないようだ。店の様子は普段どおりで、違いがあるとすれば、マスコミ関係者がHD DVDレコーダー売り場に集まっていたくらいだろう。

ビックカメラ有楽町店本館のHD DVDレコーダー売り場(画像クリックで拡大)

 この落ち着いた状況に、ある量販店のスタッフは「HD DVD陣営が苦戦しているのは以前からよく知られていました。HD DVDレコーダーを購入するほとんどの人はそれを踏まえていたので、冷静に受け止めているのだと思います」と語る。実際、ビックカメラ有楽町店本館でHD DVDレコーダーを眺めていたある男性も「記録媒体の出荷で遅れを取ったのに、容量がBDより少なかったのがいけなかった。今日は、2台目を購入すべきか迷いながら店に来ました」と静かに話していた。

 都内複数の量販店で聞いたところ、BDレコーダーとHD DVDレコーダーの販売数比率は2〜4:1で、以前からHD DVDが劣勢だった。その流れを受けての撤退表明のため、「お客様の間でもベータビデオの時ほどの混乱や衝撃はないようです」(某ショップ)という。

 なお、ビックカメラ有楽町店本館での2月19日17時点で、HD DVDレコーダー「VARDIA RD-A301」は12万8000円以下(5%ポイント)とし、値札に「お安くしすぎて表示できません!」というシールが貼られていたが、撤退表明を受けての値下げではなく、以前から続いているHD DVDレコーダーの値下げの流れで付けたものという。

東芝「VARDIA RD-A301」(画像クリックで拡大)

【追加情報】(2月20日)
 一夜明けた20日には、いくつかの都内量販店でHD DVDレコーダーの駆け込み需要が起きていた。ある店舗のスタッフは「再入荷の目処がなくなったと知って、昨日の夜からよく売れています。特に人気はDVDにもHD画質で録画できるRD-A301ですね。ウチの場合は在庫が1ケタになったので、2月中に売り切れる可能性が高いです」と語る。RD-A301の価格は9万円前後まで値下げする店舗が多い様子。ただ、需要があるため、それ以上の値下がりは期待薄といえそうだ。

※初出時に「VARDIA RD-S601」「VARDIA RD-E301」の2機種に関する価格情報が記載されておりましたが、これらの2機種はHD DVDレコーダーではなくHDD&DVDレコーダーです。お詫びして訂正いたします(編集部)