ガオビさんは、私たちをビニールシートの下のキャンプサイトに連れて行ってくれた。そこには民族衣装を着た老婆が、上座に毛皮を敷いてどっしりと座っていた。さすが女系のモソ族、彼女が一家の主なのだろう。

一家の主と思しき、民族衣装を着た老婆(画像クリックで拡大)

卵入りのお粥(画像クリックで拡大)

お堂でお参り(画像クリックで拡大)

 ここにはガオビさんの一族が結集していた。両親はもちろん、妹や弟、おじさんなど、総勢10人くらいだ。中にひときわ目立つキリッとした美形の青年がいて、「この人は誰?」と聞くと、「男朋友(ナンポンヨウ)」だという。ふむふむ、ボーイフレンドか。

 キャンプサイトでは、薪に火がくべられ、鍋がグツグツいっていた。それをお椀にすくってもらう。中は卵入りのお粥。味はなんと酒粕の甘酒に似ている。これは絶対酒が入っている! 聞けば、米で造った甜酒という酒が入っているらしい。ウマい。

 ガオビさんによると、今日は轉山祭というモソ族のお祭りの日で、この日はこうして野外で飲食するのがならわしだという。みんなでこれからお堂のところまで行って、お祈りをするというのでついて行く。かなりの急斜面を、草をかき分け15分ほど山を登る。74歳のおばあちゃんも自力で登っている。スゴイ。お堂まで登って来ると、持ってきた松の葉に火をつけて燃やし、笹の山に立てたあと、チベット風五体倒地のような祈り方で祈った。モソ族はチベット仏教を信仰しているのだ。そのあと、お堂の周りを色紙や麦やトウモロコシをまきながらぐるぐる回り、祈りは終了した。

 キャンプサイトに下りると、さきほどまで生きていて、絞めたばかりの鶏3羽の肉と、豚肉の脂身を塩漬けにしたものを、塩だけで煮込んだ激ウマスープが待っていた。う~ん、美味。これを食べ終わると、ガオビさん、男朋友、白井嬢、私の4人で下山することになった。しかし、山にいる間少し雨が降ったせいで、粘土質の土がぬかるんでヌルヌル滑り、何度も転がり落ちそうになる。麓まで下りる頃には、靴も服も、粘土でグチャグチャに汚れてしまった。

生きた鶏をその場で絞めて料理(画像クリックで拡大)

豚脂身塩漬けの激ウマスープ(画像クリックで拡大)