しかし、製品ジャンルとしてはまだまだ未成熟。方式や形態はまちまちで、それぞれに一長一短なところがあり、いまだ市場を独占する決定的なツールは登場していない。道具の発達の歴史からいうと最も面白い時期である。そんな市場にまた新たな切り口の新製品が登場した。それがこの「ケシポン」だ。

 これは、今までのとは全く別次元の解決法。切るのではなく、上からスタンプを押して判読不可能にしようというものだ。どう見ても、シヤチハタのアイデアコンペで入賞したアイデアなのに、なぜかプラスから発売されているところが不思議な商品だが、それはさておき、なんと言っても魅力はやはり手軽さだろう。消したい情報の上にスタンプするだけである。宛名程度の小面積の場合、最も早く簡単に処理できるのは魅力だ。

文字のうえからスタンプを押すだけで、情報を隠すことが可能(画像クリックで拡大)

 

ケシポンの印面。アルファベットで構成されているのがわかる(画像クリックで拡大)

 現在のところこれ以外の方式は大型シュレッダーからはさみ状の小型のものまで、全てが紙を切り刻むことで情報を破棄するものだ。そのため、程度の差はあるが、どうしても切りくずが出てしまう。ところがこの製品は、元の紙の形状を全く変えずに捨てることができる。これは古紙回収などに出す場合などにはもっとも有効だ。また、書類を器具に差し込んだりする必要がないため、冊子状のものの一部の情報を破棄したい場合や、一部の方式では破棄できない硬い紙などでも機能するところも、大きなアドバンテージだろう。

 このスタンプの模様、よく見るとアルファベットで構成されているのが分かる。これ、単に黒いベタのスタンプや幾何学的な模様ではなく、文字の羅列パターンになっているところが重要なポイントだ。

 黒い紙に黒いペンで文字を書いた状況を想像して欲しい。もちろん普通の紙に書いたよりは読み取りにくくはなるが、書いた線の部分だけ光沢や質感などに差が生じて読めてしまう場合が多いのだ。全面ベタではなく、隙間のあるパターンを印刷することで、元の紙と文字よりも強い白黒のコントラストがついて見えにくくなる。

 またこの際にも、均質なドットパターンや斜線など規則性のある幾何学パターンなどはあまり良くない。これは均質なノイズを除去して不足部分を補完する能力に長けている人間の視覚情報処理能力の高さによるもので、このパターン選びも隠ぺい能力に大きく影響する。おそらくケシポンのパターンは、人の持つその能力を逆手に取って読みにくくしているものだ。