2007年の流行語大賞に選ばれたIKKOの「どんだけェ〜」というフレーズの生みの親が新宿二丁目のやす子ママだということもあってか、年末はワイドショーで“来年の流行語を二丁目で探れ!”的な企画があったり、『アド街ック天国』(テレビ東京系)で二丁目特集が組まれたり、やたらと二丁目のおネエさん(?)方の露出が目立っていた。

 また、関東ローカルの夕方枠で放送されていた『おネエ★MANS』(日本テレビ系)も、10月から全国ネットのゴールデン枠に進出。IKKO、假屋崎省吾如月音流(ねる)らが明るく“おネエ系”キャラを発揮している。

 ほかの番組を見回してみても、おネエ系の大御所ともいうべき美輪明宏美川憲一、おすぎとピーコらも健在だし、おネエ系タレントブームのキッカケを作ったKABA.ちゃんや、“乙女系”の山咲トオルも良く見かける。硬軟取り混ぜた辛口コメントで笑いを誘う異色女装家のマツコ・デラックスもメジャー存在になった。

 お笑い芸人でも、自らゲイであることをカミングアウトした女装モノマネ芸の“マエケン”こと前田健のほかに、深夜番組で見かけた“あやや”の口(くち)パク芸をするはるな愛というニューハーフの新人芸人が面白い。

 考えてみると、今のバラエティーは彼女たち(?)おネエ系を抜きにしては成り立たない状況だといえるし、ここまでテレビにおネエ系が数多く露出している国は世界でも日本くらいのものなのではないか。

 では、現在のテレビ界でおネエ系が重用される理由を考えてみよう。

 まずは、あの明るく可愛らしいリアクションの面白さである。番組をMCとして仕切るお笑い芸人側から見ても、おネエ系キャラはイジリやすいし、ツッコミやすいといえるだろう。

 おすピーやIKKOのように割とゴツゴツした顔と、女性らしいリアクションとのギャップも、見ていて笑える一因になっている。

 視聴者の女性から見ても同性的な感覚に近く、可愛らしくて親しみやすいのだろう。一部の女性たちの間で“やおい(注)系”の小説や漫画が好まれているように、ゲイ以外の男性たちに比べて、一般の女性たちのほうが男同士の同性愛を受け入れやすいようだ。少し前に『オジサンズ11』(日本テレビ系)で山中秀樹が假屋崎の自宅の寝室をレポートして、「このベッドで若い彼氏と……」「やだぁ〜!」なんてやりとりをしていたが、今や、そうした話題でもテレビ的にセーフなのである。

 辛口コメントも的確で嫌みにならないことに加え、その独特の感覚から、IKKOのヘアメイク、おすぎの映画、ピーコのフッション、假屋崎の華道のように各々がエキスパートと言える専門分野を持っていることも大きい。

 文化的に見れば、男性が女性を演じる女形という専門の役者が歌舞伎に根付いていることとも大いに関係があるように思う。

 『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)から丸山和也弁護士が参院選で当選し、橋下徹弁護士が大阪府知事選に立候補したように、数年後には『おネエ★MANS』のレギュラー陣から政治家になる人が続出していることもあり得るのではないか。

 個人的には“おネエ党”の党首は美輪さんにやってほしいところだが。

(注)男性同士の性描写を描くマンガ、小説などのうち、主に既存のアニメやコミックのキャラクターを用いた二次創作を指すことが多い。

著 者

西条 昇(さいじょう のぼる)

西条 昇

お笑い評論家・江戸川大学マスコミ学科専任講師。多数のお笑い番組を構成するなど、お笑いへの造詣が深い。日本喜劇人協会理事。最新刊は『お笑い芸人になる方法』(青弓社)。公式ブログ「西条昇のお笑いエンタメ人生」。実はジャニーズにも詳しい。