冬のボーナス商戦で大人気となったBDレコーダー。松下電器産業の発売する「DIGAシリーズ」は、高画質という面でも高い評価を獲得している。今年の次世代DVDレコーダーの締めくくりとして、松下電器のBDチームへのインタビュー取材を実施した。取材内容はブルーレイDIGAからBD陣営のキーパーソンである小塚雅之氏へのインタビューと多岐に及んだ。

 今回は前編として、DIGAシリーズの高画質化のポイントについてのインタビューをお届けする。同社が2007年11月に発売した、DMR-BW900をはじめとする新DIGAシリーズが搭載した“フルハイビジョン4倍録り”によるMPEG-4 AVCの高画質の秘訣や、BD-ROMプレーヤーとしての画質に磨きをかけた「PHL標準高精度色信号処理」の秘密を紹介しよう。

独自LSI「新世代UniPhier(ユニフィエ)」と独自のMPEG-4 AVC技術を投入したエンコーダー

折原: 新DIGAシリーズは、初めてMPEG-4 AVCエンコーダーを搭載したことが2006年モデル(DMR-BW200/BR100)に対する最も大きな違いだと思います。今回搭載したMPEG-4 AVCエンコーダーの特徴はどこにあるのでしょうか。

松下電器産業 パナソニックAVCネットワークス社 ネットワーク事業グループ ビデオビジネスユニット 商品技術グループ 主幹技師 甲野和彦氏(画像クリックで拡大)

甲野氏: ハードウエアの面では、45nmプロセスの新世代ワンチップLSI“新世代UniPhier(ユニフィエ)”によって処理を行っています。MPEG-4 AVCのデコードやエンコードの前処理、出力する際の前処理などまでワンチップで処理しているため、それぞれを別々のチップで処理するのに比べて“密結合”が可能です。デコーダーや前処理を動的に行うことで画質の向上が可能なアーキテクチャーになっています。

折原: MPEG-4 AVCエンコーダーは他社のレコーダーにも搭載されていますが、映像圧縮技術の面ではどのあたりに強みがあるのでしょうか。

松下電器が2007年6月に量産を開始したシステムLSI“新世代UniPhier”。同社独自のデジタル家電総合プラットフォーム「UniPhier」に、新たにMPEG-4 AVC/H.264を搭載した(画像クリックで拡大)

甲野氏: DIGAシリーズはMPEG-4 AVCの「High Profile」(※)に対応しているというのが大きな特徴です。元々MPEG-4 AVCは、超低ビットレートをターゲットとした通信用から開発がスタートしたという経緯があります。そのお陰でビットレートは下げやすいのですが、精細感が落ちるという傾向がありました。そこで当社のパナソニック・ハリウッド研究所(以下、PHL)を中心として画質改善の提案を行い、正式に規格化されたのがMPEG-4 AVCのHigh Profileなのです。そういった経緯から多くのノウハウがあり、当社の得意とする技術となっています。

※MPEG-4 AVC High Profile:MPEG-4 AVCに用意された最高画質のプロファイル。従来の「Main Profile」と比べてエンコーダーで使用できるオプションが大幅に増えており、結果として画質のポテンシャルを引き上げることにつながっている。