フォロー数急増で変わるTwitterの世界

 ミニブログ「Twitter」の利用シーンに大きな変化が起きている。と言っても、サービスに変化があったわけでもないし、利用者が激増したとまでは言い切れない。

 以前の「Twitter」は「今何している?(What are you doing?)」に答えて気軽に発言を記録するミニブログ(140文字まで)だった。あるいは、数名の仲間でチャットの代わりに使うというものだった。「Twitter」ではほかのユーザーの発言を追うことを「フォロー(Follow)」と言うのだが、フォローするのはたいていは知り合い。その増やし方もSNS的な友だちつながりが多く、100人をフォローする人は少なかった。

 ところが10月に入ってから、これまで数名しかフォローしていなかったユーザーが、まるで“100人フォロー”を目標にするかのように、フォローする人の数を急激に増やしだした。なぜそんなことが起きたのか。1つのきっかけはアプレッソCTO小野和俊氏のブログの「精読のTwitterと速読のTwitter」というエントリーだったようだ。

 小野氏も従来は32人ほどフォローしていたらしい。発言を丹念に読むなら32人でも多いほうではないかと思われるが、そんなフォロー数では「Twitter」は理解できないと指摘されて400人をフォローするようになったと言う。

9月21日深夜、400人を Follow した私に押し寄せてきたのは、
これまでの10倍以上の大量の「みんなが何をしているか」という情報だった。

みんなが今この時間に何に対して反応して、
どこで感動してどこで怒って、何を目にしているのか。
それはまるで、動き続ける今というこの瞬間を切り取って映す鏡のようなものだった。

精読していた時のように一つ一つをじっくり読むことはしづらくなったが、
それからの Twitter は、明らかにこれまでの Twitter とは別のメディアだった。

道路の中央分離帯に立って左右に行きかう車やバイクの動きを、
一つ一つ細かくじっくりは見ずとも全体として見るような感覚。
これはいわば「速読の Twitter」である。

 400人をフォローすることで「Twitter」は、彼らが今何をしているか、どんなチャットをしているかという情報が怒とうのように流れ込むメディアに変化した。当然、多数の情報は速読するしかない。

 このエントリーには、250近い「はてなブックマーク」が付いており、そこからたぐって多数のブログを読むことができる。それらの意見をまとめると、だいたい100人をフォローしたあたりで「Twitter」の意味合いが変わり、さらに300人をフォローするとまた変わるらしい。

フォロー数が増えると購読できる情報が増える。フォローされた数はその人の「Twitter」の世界での人気を示している

Twitter有名人が生まれてきている

 たくさんのユーザーをフォローすることで「Twitter」の世界が変わってくると言っても、1日に1回しか発言しない人や、発言しても「起きた」「昼飯、オリジン弁当」「もう寝る」「@hogehoge3 おやすみ(@を付けると特定ユーザー向けメッセージになる)」といった発信者をいくらフォローしたところで情報としての面白さはない。北海道の情報を知りたいなら北海道のユーザーをフォローすればいいし、IT関連の情報を得たいならその分野の有名人をフォローすればいいのだろうが、現状の「Twitter」にはユーザーを分類して探し出す機能はない。

 そこで、「Twitter」の世界で有名な人や、すでにブログで有名な人を片っ端からフォローするという雪崩のような現象が起きた。このため、すでに「Twitter」を使っていた人たちから、「なんで急激にフォローが増えたのか?」という疑問が続出するという事態になった。一例では、「ウェブ進化論」で有名な梅田望夫氏もたくさんのフォローが集まったらしく、驚きの発言をしている。だが、梅田氏はそれほど頻繁に「Twitter」で発言していないことから、300人を超えるほどではないようだ。

梅田望夫氏は突然のフォローの増加に驚いたようす(画像クリックで拡大)

 現状、一部の活発な「Twitter」ユーザーにフォローが集中しやすくなっている。すでに一部の人気ユーザーは、1000人以上にフォローされるという事態も起きている。ブログの世界では“アルファブロガー”と呼ばれる影響力の強いブロガーが存在するが、「Twitter」の世界でもダイレクトな影響力を持つユーザーが出現しつつある。

 今後、大量フォローという「Twitter」の利用形態がどの程度進行するのかは分からない。いくら大量にフォローすると言っても、500人を超えるフォローを読みこなせるかという疑問も残る。それでも「Twitter」をホットな情報収集ツール、さらにコミュニケーションツールとするには、少なくとも100人のフォローが必要というのは確かだろう。これまでネットの最新情報は、RSSや「はてなブックマーク」のようなSBM(ソーシャル・ブックマーク)にあったが、最もホットな話題は大量フォローした「Twitter」でキャッチする時代になってきた。

著者

佐藤 信正(さとう のぶまさ)

テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。