パソコンはメディアになるのか

 一昔前に、車は自己主張のためのメディアになっているという議論があった。もちろん、ファッションはその典型である。今や、職業もメディアになっているのかもしれない。

 では、パソコンはメディアになるのだろうか? モバイルノートなら、十分に自己主張できると思う。もはや、カラーバリエーションだけで満足できないユーザーにソニーが提案したのが、このド派手なデザインである。

ネクタイは戸田氏が気に入っているエミリオプッチのもの。このネクタイを締めているんだから、「ZAnPonモデル」の天板でもまったく許容範囲だ(画像クリックで拡大)

 実物を見てみると、質感も悪くない。転写による塗装だそうだが、傷を付けなければはがれることもないだろう。曲面の部分にもしっかりとイラストが回り込んでいるのは、さすがはVAIOのクオリティだ。

 だが、ちょっと残念に思うのが、天板の塗装以外は同イラストの壁紙と付属のステッカーが付属するだけにとどまること。

 だったらステッカーを貼り付けても、あまり変わらないように思う。デザインは素晴らしいし、バイオのサイズにもぴたりと合っている。

パソコン本体のカドの部分までしっかりと柄が回り込んでいる。せっかくだから、底面まで回り込むくらいの思い切ったことをしてほしいと戸田氏(画像クリックで拡大) VAIOのロゴがイラストを削っている。「大谷リュウジモデル」は、ロゴのエリアを明け渡すために、イラストそのものを変化させている。キャンバスなのだから、本来ロゴはないはずで、「とても残念」と戸田氏(画像クリックで拡大)

 だが、これはデザインのためのデザインであって、パソコンのためのデザインではないように思えるのだ。ほかにも、携帯音楽プレーヤーなども提供するようだが、いわゆるデジタルツールのデザインなのだから、どこか機能性能とリンクしていてほしいのだ。

 たとえば、シャネルやヴィトンが同社のマークを貼り付けたパソコンを売ることはないだろうと、僕は思う。それなら、テレビでもプリンターでもデジカメでも、何でもよいからだ。

 ヴィトンが発売したFDのケースを手にしたことがあるが、それは素晴らしいデキであった。同社のバッグと同様の革を使い、質感も素晴らしかった。市販品にシールを貼ったような製品ではなかった。

 今回のVAIO type Cは、名前からして“キャンバス”なので、真っ白なキャンバスとしてとらえたと考えるべきだ。だが、それなら他のパソコンや、他の製品でもいい。イラストも素晴らしいし、type Cも素晴らしい。だが、両方が合わさったときの魅力はイマイチ発揮されていないように思うのだ。

付属する壁紙。「派手すぎてアイコンが見づらいかも。この壁紙では、ドキドキして仕事にならないような気がするのだが…」と戸田氏(画像クリックで拡大)

著者

戸田 覚(とだ さとる)

1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。近著に、『ここで差がつく! 仕事がデキる人の最速パソコン仕事術』(インプレス)がある。
Facebook: https://www.facebook.com/toda001