2007年10月16日、携帯電話各社の先陣を切ってauの秋冬モデルが発表された。auの端末といえば、ここしばらくはワンセグ端末の普及に注力し、どちらかというと、デザインや使い勝手に重点を置いていた感がある。しかし今回のモデルは、久しぶりに最新のデバイス、最新の機能を備えた高機能端末を中心に据えていたのが印象的だった。

 そこで今回は、auの新端末に搭載される機能やサービスから、今後、携帯電話全体のトレンドになりそうな要素をいくつかピックアップし、解説していく。

テレビより先に「有機EL VS 液晶」の対決が勃発する?

 au秋冬モデルの大きなトピックの一つといえるのが「有機EL」だ。これまで、有機ELディスプレイを採用した端末といえば「MEDIA SKIN」くらいであったが、秋冬モデルでは9機種中4機種(すでに発表済みのINFOBAR2を含む)と、有機ELディスプレイを採用する端末が半数近くに上っているのだ。

 今回のモデルで採用している有機ELディスプレイは、すべてディスプレイメーカー大手のサムスンSDIと、KDDIが共同で開発したもの。ちなみにINFOBAR2を除く3機種は、世界初となる2.8インチWQVGAの大型有機ELディスプレイを採用している。発表会会場では、W53Hの実機などによる映像のデモをが行われていたのだが、実際に確認してみると、やはりコントラストの高さや発色の美しさは抜群であった。

 この有機ELを大幅に採用した理由は、やはり「ワンセグ」にあるようだ。実はワンセグが登場して以降の携帯電話を見ると、「大型化」「スリム化」というように、テレビと同じ進化をたどっている。auでいえば、3インチものディスプレイを搭載した「W44S」や、薄型化を進めた「W52SA」「W53T」などがいい例だ。

 だがテレビの世界では、近年大型化に一段落がついたということもあって、パイオニアの「KURO」に代表されるように、高画質化に力を入れる傾向が強まっている。競合他社もワンセグ対応機種を増やしてきている昨今、同機能で先行するauが、今後の差別化要素として、テレビの正当進化系である「高画質」を取り入れるべく、有機ELの採用を本格化させたようだ。

 寿命の問題などからなかなか採用が進まなかった有機ELディスプレイだが、それを解決して多くの端末に搭載されるようになった。ということは、これまでは液晶の独壇場であったメインディスプレイに、有機ELディスプレイという大きなライバルが現れたことになる。テレビの世界よりも先に、両者がメインディスプレイの座を奪って競合する可能性が高まってきた、といえるかもしれない。

世界初の2.8インチ有機ELディスプレイを搭載したW53Hの映像。色の表現が非常によく、視野角も広い(画像クリックで拡大)
液晶と映像を比較しているところ。くすみがなく、はっきりした発色なのがよく分かる(画像クリックで拡大)

ワンセグのアンテナも内蔵化の流れに?

 ワンセグに関連するところで、もう一つ注目すべきは「ワンセグアンテナの内蔵化」である。こちらはすでにINFOBAR2で実現しているものだが、今回の秋冬モデルではもう一つ、W53Hもワンセグのアンテナを完全に内蔵化しているのだ。

 かつては、「あるのが当たり前」であった携帯電話のアンテナも、デザイン的な理由や技術の進化などによって、気がつけば、大半の端末が内蔵するようになった。こうした経緯を考えると、デザイン的な制約が増え、使い勝手の面でもマイナスとなるワンセグのアンテナも、徐々に内蔵化の方向に進んでいく可能性が高いといえそうだ。

 とはいえ、やはりアンテナを内蔵化してしまうと、まだ受信感度などに少なからず影響はあるようだ。W53Hの場合、ヒンジ部分にアンテナを内蔵していることから、その部分を手で押さえられてしまうと感度が落ちてしまうとのことであった。

INFOBAR2に続き、ワンセグのアンテナを内蔵したW53H。左側のヒンジ部分にアンテナがあり、手で押さえてしまうと感度が弱くなるという(画像クリックで拡大)