インドネシアの東の海、ニューギニア島の西側にラジャ・アンパット諸島があります。日本ではあまり知られていませんが、ここはきわめて多くの生命を育む生物多様性に富んだ海なのです。例えば、美しい海で知られるカリブ海全体でもサンゴは70種類もいませんが、この地域では450種以上の造礁サンゴが確認されていて、そのうち9種は世界で初めて見つかったものです。

ラジャ・アンパッド諸島の北、ワヤグ島の海には密林に覆われた島々が点在し、迷路のようだ
Photograph by David Doubilet (c)2007 National Geographic(画像クリックで拡大)

 「ナショナル ジオグラフィック」日本版9月号では、水中写真の第一人者であるデビッド・デュビレがラジャ・アンパット諸島の海を撮影した「インドネシアの生命あふれる海」を紹介しています。

コショウダイの仲間
学名PLECTORHINCHUS POLYTAENIA

20メートルほど下にあるサンゴ礁の付け根では、コショウダイが大きなサンゴから外をのぞいている。この小さな群れは頻繁にその編隊を組み換えたが、サンゴの枝が密集した安全地帯から離れることは決してなかった
Photograph by David Doubilet (c)2007 National Geographic(画像クリックで拡大)

 とはいえ、ラジャ・アンパットの海は、旅行会社のパンフレットを飾るような、明るくてきらきら輝いた海ではないようです。海中は珊瑚礁の繁殖に欠かせないプランクトンがいっぱいなせいで、濁って見通しが悪いことも多く、海流は速くて洗濯機の中に潜っているかのようだ、とデビッド・デュビレは感想を漏らしています。

 それでも、写真を見ていると美しい生き物たちが激しい流れの中で生きていることがよくわかります。まさに海の中にできたサンゴ礁の楽園といってよいでしょう。

ミズクラゲ 学名AURELIA AURITA
夕暮れどき、ガム島の海面に浮かぶミズクラゲ。半透明の体が、ストロボの光を受けて輝く。外敵が少ないこの湾には、幅25センチほどの何千というミズクラゲが漂う。それはまるで脈打つ心臓のようで、海が生きている証にも見えた
Photograph by David Doubilet (c)2007 National Geographic(画像クリックで拡大)

 海水温の上昇などにより、世界中の海でサンゴ礁が激減しているなか、この貴重なサンゴの群落を守る取り組みを進めていく必要がありそうです。

サンゴ礁と熱帯雨林が出会う、ワイゲオ島とガム島のあいだの曲がりくねった水路。水面から3メートルほど下では、地上の密林から漏れるやわらかな光がサンゴの森に差し込んでいる
Photograph by David Doubilet (c)2007 National Geographic(画像クリックで拡大)

 ※そのほかの写真については、ナショナル ジオグラフィックのウェブサイトでご覧いただけます。

 

■関連情報
・ナショナル ジオグラフィック http://nationalgeographic.jp/
・ナショナル ジオグラフィック日本版9月号「インドネシアの生命あふれる海」
 http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0709/feature04/

 

2007年9月号
イスラム教徒の祖国として、英領インドから独立して60年になるパキスタン。過激派と穏健派のムスリムが併存する同国は、9・11同時多発テロ以降、国際社会にとって大きな不安要因となっている。残酷な格差社会の中で、善良な市民たちがテロリストに変わっていく瞬間をレポートする Photograph by Reza (c)2007 National Geographic