辞書には載らない「インターネット用語」がいっぱい

 インターネットで最近の話題を追う「gooランキング」に、「よく見かけるけど意味がわからないインターネット用語ランキング」が上がっていた。ネットトレンドを追うコラムの執筆者としてどのくらい知っているだろうかと読み進めて、うなった。そこに挙げられた「インターネット用語」というのは「2ちゃんねる用語」と言い換えてもいいくらい。つまり、それらの意味が分かるということは、「2ちゃんねる」みたいな世界にどっぷり浸っているということになる。それらの意味を知っていたら、それはそれで問題かもしれない。

 トップテンから見ていこう。

1 gkbr 「ガクガクブルブル」の略。恐れおののく様子を表す。
2 NTR 萌え属性の1つ。愛する人が寝取られること。マゾヒズム。
3 IYH 「イヤッッホォォォオオォオウ!」の略。
4 ksk 「加速」の略。スレッドなどを早く進めたい時などに使用。
5 TS、TSF 性転換。主に男性→女性に変化することを指す。
6 sakuる ポイントなどを管理人の権限で消しちゃうこと。強権発動。
7 ktkr 「キター!」の変化形「キタコレ」の略。
8 kwsk 「詳しく」の略。
9 ティウンティウン やられた、負けた、と思ったときの「やられ効果音」。
10 ゲラウトヒア “Get out of here”(いい加減にして)。

 「まるで分からない」と言いたいところなんだけど、いくつか分かる。gkbr(ガクガクブルブル)は、たぶん、((((;゜Д゜)))というアスキーアート(AA)を簡略化したものだろう。アスキーアートを読み下して省略語にするというのは「2ちゃんねる語」によくあるパターンだ。ktkrやkwskも同じ。

 その他の用語を見ていくと、「sakuる」が「削除する」からきているのはなんとなく分かる。「ゲラウトヒア」の直訳は「出て行け、あっちに行け」だけど、「2ちゃんねる」で流行したのは、たぶん「秋葉原きめえwwwwwwwwww」からだ。

 10位からの用語は、あれもこれも知っている。2ちゃんねる的な世界に自分の考え方が近いのかと、orz(がっくりする)。

11 バーボンハウス 「あなたは釣られましたよ」とやんわり伝える言葉。
12 ワッフルワッフル いいところで寸止めする行為。また続きを催促すること。
13 今北産業 「今来た私にこれまでの流れを三行で説明してください」の略。
14 自宅警備員 ニートをもっともらしい職業に言い換えた表現。
15 フルボッコ 「フルパワーでボッコボコ」の略。全力で打ちのめすこと。
16 先生きのこる/きのこる 「この先、生き残る」の略。今後のことを心配する行為。
17 日本語でおk わけのわからない発言に対しての突っ込み。
18 (ギガ・テラ)ワロス とてもおかしいこと。
19 空気嫁(ky) 「場の空気を読め」から転じる。Kyはさらに略語。
20 にょろーん がっかりすること。残念なこと。

 「バーボンハウス」については、「はてなダイアリー」の「バーボンハウスとは」が分かりやすい。「バーボンハウスで議論しても」みたいに使われることもある。

「バーボンハウス」はこんなふうにアスキーアートと一緒に始まる。物語の前口上をマネしたものだ

 「フルボッコ」は「特攻の拓」というコミックが起源らしいが、ネットでは「ブログで自滅する人々(第1回)~ブログで「祭られる」人々」で描かれたような状況が多い。

 「テラワロス」は、日常語でも私も使っていたりする。「しょこたん☆ぶろぐ」のように、「ギザ○○○」みたいに言うこともある。

 21位から30位の用語はほとんど分かる。「ウホッ!/やらないか」については「あることに反応したときの言葉と定型返答句」という解説が正しくないということまで分かってしまう。気になる方は、「はてなダイアリー」の「やらないかとは」をご参照のこと。「やらないか」の変形で「やらまいか」というふざけた言い方もネットではけっこう使われている。

 以上の30位までのリスト外でよく見かけるのは、「かわいいよ」、しょこたん語「カワユス」、「おっきした」、「わしが育てた」などか。

「わしが育てた」のAA。○○のところに、いろいろな人名や物を入れて、偉そうに語らせる

 ネットで絵文字や略語の表現が多くなっているのは、きちんとした言葉による表現が廃れたというより、そんなふざけた表現を使わないとニュアンスを伝えにくい事柄が増えているからだろう。確かに、IT業界の話を聞いていると「日本語でおk」とツッコミたくなるし、安倍前総理の退陣の経緯なんかも「フルボッコ」という表現が似合いそうだ。変わった流行語のように見えるけど、きちんと現代の世相を反映していたりする。


著者

佐藤 信正(さとう のぶまさ)

テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。