変拍子の嵐の民謡で育った日本人のリズム感とは?

 女の子3人組のロックバンド、チャットモンチーも普通に聴くとさわやかなメロディーのJ-POPらしさが満載の曲なのに、よく聴きこむとリズムが変わっています。

チャットモンチー
『橙』
アニメ『BLEACH』エンディングテーマ。「少年ナイフっぽいバンドと思ってたけど、この曲は少年ナイフの危ういテクニックじゃ演奏できないかも(笑)。」

 新曲の『橙』では、1曲目のイントロからAメロにかけてのリズムが微妙に8ビートから外れている。これが曲の味になっていて、ものすごく考えられたドラムパターンだと思います。あと3曲目はドラムのビートがはっきりしないんだけど、よく聴くとリズムは3拍子。前にヒットした『シャングリラ』も変拍子が入ってました。こんなキュートなガールズバンドに変拍子が入ってるなんて、外国人からすると不思議なんじゃないかな。

 女の子3人が歌うテクノポップユニットPerfumeの新曲『ポリリズム』は、もう超ヘビーローテーションで聴き込んでいるけど、サビのリフレインのアイデアが最高じゃん。4つ打ちの普通のリズムと、ボーカルが「ポ・リ・リ・ズ・ム」って歌う5つの声の音、4つと5つの違うビートを重ねてます。このアイデアは天才過ぎる。歌うのも超難しいよ。拍手拍手です。

Perfume
『ポリリズム』
NHKエコキャンペーンソング。「ボーカルの声をつぶすボーコーダーみたいなエフェクトを全編で使うのも面白い。懐かしいんだけど、実は最新技術で作られた音です」。

 こういう変なリズムを入れる場合、よっぽどうまく構成しないと、耳がドラムだけに集中しちゃう。だから曲全体の魅力が伝わらないことが多いんです。だけど、どの曲もメロディーや曲自体の素晴らしさが伝わってくるじゃん。これは難しいリズムをきちんと飲み込んで、使いこなしている証拠のはずです。みんな若いからなおさらすごい!

 そもそも日本の民謡って、変拍子の嵐だったりするじゃん。だから日本人は、白人や黒人の音楽に多い繰り返しが中心のダンスビートとは違う独特のリズム感を持っているんじゃないかな。もう少し研究してみたいテーマです。

筆者紹介 マーティ・フリードマン
 アメリカ・ワシントンDC出身。世界でアルバム1000万枚を売り上げたメガデスの全盛期のギタリスト。J-POPに造詣が深く、日本語も堪能。現在は東京を拠点に、音楽活動のほか雑誌やテレビで活躍中。日経エンタテインメント!の連載「J-POPメタル斬り」も大好評。公式ページは英語版日本語版がある。この春のヨーロッパツアーを収録したライブCDと、5月の日本公演を収録したライブDVDを8月22日に同時発売。

著者

マーティ・フリードマン

 90年代、ヘビーメタルバンド、メガデスのメンバーとなりアルバムセールスを1300万枚超えの世界的なスーパーバンドへと導いたギタリスト。その後、J-POPに興味を持ち、メガデスを脱退。活動の拠点を東京に移し、ミュージシャンやプロデューサーとして活動している。11年9月には好評のJ-POPカバーアルバム第2弾『TOKYO JUKEBOX2』を発売した。発売中のSMAPの最新アルバム『GIFT of SMAP』(ビクター)では、木村拓哉のソロ曲『La+LOVE&PEACE』の作・編曲とギター演奏を担当するなど、他のアーティストへの楽曲提供、アレンジ参加など多数。日本の音楽や日本語の魅力について、外国人やミュージシャンならではの視点で様々なメディアにおいて語っている。「日経エンタテインメント!」の連載「J-POPメタル斬り」も大好評。公式ページはこちら