今回マーティが分析したのは「YUKI」「スピッツ」「スネオヘアー」の3組。YUKIのサウンドはアメリカ人にどう聴こえ、その人気はどう映るのか。そしてスピッツとスネオヘアーに影響を与えた洋楽とは何か。この2つに斬り込みます。

なお現在発売中の「日経エンタテインメント!」9月号(表紙・井上真央)では「浜崎あゆみ」「木村カエラ」「RYUKYUDISKO」を分析しています。

また9月4日発売の10月号(表紙・沢尻エリカ)では「ザ・ブリリアント・グリーン」「松浦亜弥」「東京事変」を斬る予定です。


 YUKIは僕も大好きだし、もちろんJ-POPのトップアーティストであることは間違いありません。だけど普通のアメリカ人が聴いたら、この人気の高さは理解できないと思う。ポイントは2つあります。

 まずは声質です。こんなに高い音程なのに、叫ぶように歌っているわけではなくって、甘えているように歌う超いやしの声じゃん。この独特の声質は、たぶん洋楽には存在しません。童謡にすらありません。

 この声を僕が日本語で表現するとしたら、「リスみたいな声」になります。日本人には、結構伝わるんじゃないでしょうか。でもアメリカ人には絶対に無理。だって「リスみたいな声」のボーカリストを聴いたことがないし、「リスみたいな声」という言葉はありえないから。

 もう1つのポイントは、支持のされ方です。YUKIって、女の子にすごく共感されているじゃないですか。

 でもアメリカでは、アイドル的なかわいらしさのイメージが強い女性アーティストって、どんなに音楽性は本格的だったとしても女の子のファンは少ないんだよね。いたとしても9歳くらいまでです(笑)。

 アメリカではYUKIとかYUIとか大塚愛とかみたいな、音楽の才能が超あふれてて、しかも外見もかわいいアーティストは、たぶん女の敵なんだよね(笑)。だから音楽ファンの女性に人気があるのは、アラニス・モリセットみたいに少し怖い感じの人。恋のライバルにならないから(笑)。

YUKI
『星屑サンセット』
ドラマ『パパとムスメの7日間』主題歌。「80年代風のハッピーな曲調、キラキラした音色、さわやかなリズムにYUKIのかわいい声がすごくマッチしています」。

 YUKIのサウンドは完全に80年代のニューウェーブだよね。キラキラした音色からコード進行、ダンス調のビート、そして何よりも、きれいなメロディーが特徴です。

 実は普通のアメリカ人が持っているJ-POPのイメージって、ニューウェーブなんです。でも本当はJ-POPはニューウェーブだらけというわけではない。それなのにJ-POP=ニューウェーブの印象が強い理由を僕なりに分析すると、アメリカでは60年代にヒッピー的な音楽、70年代にハードロックやプログレが流行った。その反動で、メロディーの大切さが見直されて80年代に生まれたジャンルがニューウェーブなんです。

 たぶんアメリカの音楽の歴史で一番分かりやすくてシンプルなメロディーの時代。そこがメロディーを大切にするJ-POPのイメージに似ているからでしょう。J-POPは何よりもまずはメロディーだからね。