YouTube大躍進の陰で大手サイトは低迷傾向

 ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)がユーザー数を順調に伸ばし、広く一般にも浸透したかに見えるインターネット。しかし、実際のところはどうなのか。Webサイトの訪問状況の調査・集計を行っているサイト「Alexa」を利用していろいろなサイトの過去3年間のページビュー(閲覧回数)の推移をグラフ化してみると、意外な現状が見えてくる。

 まずは「Alexa」による、日本のトップサイト500のリスト「Top Sites Japan」から上位5位までのWebサイトを取り上げた。

 それぞれのページビューをグラフ化してみると、2006年からは「YouTube」がうなぎ登りにページビューを稼いでいる一方で、「Yahoo! Japan」が徐々に衰退していることが分かる。

日本のトップ5のWebサイト、「Yahoo! JAPAN(yahoo.co.jp)」「Google(google.co.jp)」「FC2(fc2.com)」「mixi(mixi.jp)」「YouTube(youtube.com)」のページビューの推移(画像クリックで拡大)

 「YouTube」と「Yahoo! Japan」の数値が大きすぎて、他のWebサイトの推移が見えにくいのでこの2サイトを除き、代わりに「楽天市場」と「Livedoor」を加えたのが下の図だ。

「Google(google.co.jp)」「FC2(fc2.com)」「mixi(mixi.jp)」「楽天市場(rakuten.co.jp)」「Livedoor(livedoor.com)」のページビューの推移(画像クリックで拡大)

 これらのサイトにも「Yahoo! Japan」に似た傾向が現れている。2005年は順調に増加していたページビューが2006年初旬にピークを迎えた後、徐々に下降。現在では2005年以前の状況にまで衰退しているのだ。

 次にショッピングサイトの大手、「楽天市場」と「amazon.co.jp」を取り出して比較してみた。

「楽天市場(rakuten.co.jp)」と「amazon.co.jp」のページビューの推移(画像クリックで拡大)

 「楽天市場」と「amazon.co.jp」のページビューも先述の大手サイトと似たような形でピークを迎え、その後は下降している。この2つの大手ショッピングサイトの衰退は、サイトに原因があると言うより、インターネット全体の衰退を受けてのことだ考えられる。

 この数年、話題になっていたブログはどうだろうか。大手のブログサービスとしてニフティの「ココログ」、ビッグローブの「ウェブリブログ」、はてなの「はてなダイアリー」、サイバーエージェントの「アメーバブログ」、GMOインターネットの「ヤプログ」を比較してみた。

「ココログ(nifty.com)」「ウェブリブログ(biglobe.ne.jp)」「はてなダイアリー(hatena.ne.jp)」「アメーバブログ(ameba.jp)」「ヤプログ(yaplog.jp)」のページビューの推移(画像クリックで拡大)

 2005年時点では、パソコン通信時代からのユーザーという資産を活かしたニフティの「ココログ」とビッグローブの「ウェブリブログ」がまだブログの世界を牽引する立場にあり、「はてなダイアリー」の躍進も目覚ましい。しかし、それらもやはり2006年初旬にピークを迎え、現在は2005年当時を下回っている。

 ユーザー参加型サービスとして、ブログと並んで話題にされるのが匿名掲示板とSNS。その代表が「2ちゃんねる」と「mixi」だ。さらに「2ちゃんねる」の管理人であるひろゆき氏が取締役を務めるニワンゴの「ニコニコ動画」も加えてページビューを比較してみた。

「mixi(mixi.jp)」「2ちゃんねる(2ch.net)」「ニコニコ動画(nicovideo.jp)」のページビューの推移(画像クリックで拡大)

 2006年に入って「mixi」が「2ちゃんねる」を抜いたものの、その後は、大手サイトやブログなどと同様の傾向が見える。

 興味深いのは「2ちゃんねる」のユーザ層を引き継いだ「ニコニコ動画」が急上昇していること。この人気はもちろん「YouTube」などの動画投稿サイトの人気にあやかったものだ。「ニコニコ動画」は動画投稿サイトで公開されている動画にテロップのような形でコメントをつけられるのが特徴で、コメントには2ちゃんねる風のものが多い。

 以上、ページビューの推移から日本のWebサービスの傾向を見てきた。結論として「YouTube」のような革新性を伴わないインターネット上のサービスは、すでに低迷の時代に入っていると言えそうだ。

 なぜそんなことになったのか。説明は難しいが、インターネットユーザー数と彼らが閲覧に費やす時間が限界に達したからではないだろうか。しかも、そこに「YouTube」が登場し、他サイトのページビューを奪ったのだろう。また、Webサービス全体の裾野が広がったことで、ページビューが分散したことも要因の1つかもしれない。

筆者紹介 佐藤 信正(さとう・のぶまさ)
テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。

著者

佐藤 信正(さとう のぶまさ)

テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。