オリンパス「E-410」を持って、ジャイアントMR4-R(関連記事)でサイクリングに出かけた。北上川沿いの土手の道を、盛岡から下るコースだ。川沿いに180キロあまり行けば、太平洋に出る。もちろん、それほど健脚じゃないので、たぶん花巻か北上あたりまでだろう。

 河原ではニセアカシアが葡萄の房のような白い花をつけ、やはり葡萄に似た爽やかな甘い香りをふりまいていた。キジがまだ鳴いているし、カッコーやウグイスも賑やかだ。この時期の北東北は季節の変化が速い。サクラが咲いていたのが、ついこのあいだのような気がする。

 北上川の土手の道は、歩行者と自転車の専用道路だから、クルマやオートバイは通れない。200キロ近くもクルマに怯えることなく走れるのだから、自転車乗りにとっては夢のような道だ。

 ところが、いざ行ってみると、未舗装のところがあったり、途中で行き止まりになっているなど、整備されているとはお世辞にも言えない。
 しかも、案内図(地図)がほとんどない。利用者のことをまったく考えていないのだ。
 E-410でそんな自転車歩行者道路(一部、サイクリングロードと銘打っている部分もある)の魅力と問題点を撮影しながら、スローペースで下っていく。

北上川の土手の道。歩行者と自転車の専用道路。全部つながれば200キロもの本格的な自転車道になるのだが

 E-410はボディーが375gと軽い(07年7月現在、世界最軽量)。標準ズームレンズである14-42mm、F3.5-5.6も190gしかない。徒歩旅行やサイクリングにぴったりのカメラだ。
 コンパクト化を進めると操作性に支障をきたすことがあるものだが、E-410は操作性もいい。撮影モードを切り換えるダイアルも使いやすかったし、ボタン類もわかりやすい。
 今、ほとんどの一眼レフは右手のグリップ部がふくらんでいるのに対して、E-410はフラットなため、安定しないという指摘がある。ぼくの場合、最後に持っていた一眼レフがニコン「FM-II」だったせいか、さほど違和感はなかった。
 また、なぜかE-410で撮影するときは液晶モニターを使わず、ファインダーを覗いていた。これは、体に染みついた癖なのかもしれない。
 総じて、銀鉛の一眼レフと同じ感覚で使うことができた。

 レンズの描写力という専門的なことはわからないが、標準装備のズームレンズは広角側(35ミリ・カメラに換算すると28ミリくらいになるのだろうか)を重宝した。後で気がついたのだが、望遠側はほとんど使っていなかった。だから、ズームではなく、広角単焦点の小さな(あまり出っ張らない)レンズがほしい。

 国道を行けば花巻までは30キロほどの距離なのに、蛇行する北上川沿いに下ると50キロにもなっていた。北上まではもう目と鼻の先だが、無理せず花巻から東北本線のローカル列車で帰ることにした。
 青空の下、E-410に大いに物欲を刺激されっぱなしのサイクリングだった。

※次ページで斎藤純氏が撮影した写真を掲載しています。

筆者紹介 斎藤 純(さいとう・じゅん)
 作家。1957年岩手県生まれ。立正大学文学部卒。大学卒業後、コピーライターの傍ら、出版社に投稿を続け、84年『辛口のカクテルを』で北の文学最優秀賞を受賞。88年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。91年小説家として独立、94年『ル・ジタン』で日本推理作家協会賞。2005年『銀輪の覇者』が「このミステリーがすごい 05年版」でベスト5に選出された。主な著書に『オートバイの旅は、いつもすこし寂しい。』『モナリザの微笑』などがある。
 毎月出かけるいろいろなコンサートや展覧会での感動体験を綴ったエッセイが岩手めんこいテレビ公式サイト「目と耳のライディング」で好評連載中。また、斎藤純さんご自身のブログも随時更新中です。