CDの需要が低迷する一方で、伸び続けている音楽配信。国内レコード会社43社が加盟する日本レコード協会によると、昨年は国内有料音楽配信の売り上げ(前年比56%増の534億7000万円)がシングルCDの生産額(508億円)を上回った。その中でも、ここ数年で人気コンテンツに成長した携帯電話向けの「着うた」と「着うたフル」の売り上げは482億4000万円にも膨らんだ。しかし、現在配信されている着うたは、邦楽も洋楽も最新曲が中心。60年代〜80年代の“大人のロック”を愛する世代としては、お気に入りの着うたを手に入れるのもひと苦労だ。
そんな中、ワーナーミュージック・ジャパンが、洋楽の旧譜を中心とした携帯電話向け着うたサイト「RHINOモバイル」を今年2月5日に立ち上げた。アンソロジーやボックスセットなどを手がけるライノ・レーベルが保有する音源を配信する。同レーベルは、今年1月に世界15カ国のワーナーミュージック・インターナショナルが所有する旧譜をすべて傘下に置くことを発表。現在配信中のドゥービー・ブラザーズやモンキーズ、ラモーンズなどのほか、レッド・ツェッペリンやイーグルス、ヴァン・ヘイレンなどの配信も期待される。さらに、4月16日には着うたフルの配信も開始。ますます充実していくRHINOモバイルについて、チーフプロデューサーの三樹門太氏に話を聞いた。
| ■買うだけじゃない、アクセスするのが楽しい“大人のロック”専用サイト |
RHINO(ライノ)モバイルの魅力は、なんといっても「カタログ」と呼ばれる旧譜の着うたが集約されていることだ。「これまでの着うたサイトは新譜を売る場としてしか機能していなかった」と言う三樹氏は、レコード店と同じく、新譜とカタログを分けることで“大人のロック”を求める人たちが簡単に探せるサイトを提供したいと考え、RHINOモバイルを立ち上げた。メインターゲットは、リアルタイムに60年代〜80年代のロックに浸ってきた団塊世代だが、着うたに慣れ親しんでいる若い層の“大人ロック入門”の場としても三樹氏は期待する。
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▲ RHINOモバイルの構造。上から毎週更新のアーティスト特集、小特集(テーマフリーで毎週更新)、「SONGS YOU KNOW」(2週おき更新)、「ジャケットYOU KNOW」(2週おき更新)、その下には検索コーナーや年代別チャートなどが並ぶ 【画像をクリックすると拡大表示されます】 |
「作るからには本格的なものを」という気持ちから、企画スタートからサービス開始まで約2年間もかかった。「スケジュールは押したが、単なる着うたを並べるのではない充実したサイトに仕上げたかった」と三樹氏。音楽評論家の重鎮である天辰保文、北中正和、吉成伸幸の3氏による独自の特集コンテンツや楽曲コメントなどクオリティーの高い読み物を用意した。信頼できる評論家たちが執筆・監修した特集は、優れたリイシュー・ブランドとして多くの音楽ファンから評価されるライノ・レーベルの名に恥じない内容になっている。
問題もある。画面の小さな携帯電話で読み物を充実させるのには限界があるのだ。文字や画像が小さすぎては団塊世代に敬遠される。そのために文字を大きくして、特集は300字程度にまとめた。「依然、文字が小さいという声はあるが、特集が好評であれば、もっとたくさん読めるように文字量は多くしていきたい」。まだまだ手探りの状態だが、年代別の特集なども予定しているという。
読み物以外にも、CMやドラマで使われた有名な曲をフィーチャーした「SONGS YOU KNOW」や、印象的なジャケットをピックアップする「ジャケットYOU KNOW」というコーナーで、思い出の曲や懐かしい曲との再会を狙った。CMやドラマがきっかけでヒットした曲を求める若い層にもSONGS YOU KNOWは便利に使えそうだ。
着うたを買うだけではなく、さまざまな工夫で訪れること自体が楽しいサイトを目指す。
| ■レコメンド機能を前面に出して使いやすく |
FLASH技術を使ったシンプルで直感的なユーザーインターフェースや、分かりやすいメニュー構成もRHINOモバイルの特徴だ。これはサイト構築を担当したカタリスト・モバイル社と話し合いを重ね、三樹氏が注力したポイントで、「新曲と違って旧譜は知名度があり、目に止まれば売れる」という特徴を生かし、レコメンド機能を前面に押し出した。アクセスして最初の画面に見えるのは、週間または2週間おきに更新されるアーティスト特集、小特集、SONGS YOU KNOWの3つ(端末の液晶サイズによるが、この3つは見えるようになっている)。FLASHを使っているため“ページ取得”せずに3つのサムネイルが読める。
3つしかないのは、ユーザーが曲を探すのではなく、厳選したおすすめの曲を目立つところに置いて、特定のユーザーの琴線が強く触れるのを狙ったためだ。新譜ではできない手法といえる。もちろん画面を下にスクロールすれば検索窓があり、アーティスト名や曲名で好みの曲が探せる。ただし、多くの人は下までスクロールせずに最初の画面だけ見て、サイトを去っていく。アクセスして最初に見える画面の内容で勝負は決まってしまうのだ。
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| ▲ アクセスして最初に見える画面は、FLASH技術を使って、ページ取得せずに3つのページが見られるようになっている。ページ取得やスクロールは時間がかかるため、ストレスを感じることが少なくない。アクセスしてユーザーが最初に見る画面の作りにはとことんこだわったという 【画像をクリックすると拡大表示されます】 |
現在はNTTドコモのFOMA向けに、着うたと着うたフルを約1000曲ずつ配信している。auとソフトバンクモバイル向けにも5月をめどに配信を予定する。曲数も「着うたフルは5000〜6000曲に増やしていきたい」という。将来的には、数曲をまとめて割引販売する「バンドル配信」や、CMソングを特典としてRHINOモバイル経由でダウンロードさせるコラボレーション(例えば、缶ジュースを買ったらスクラッチカードが付いてきて、カードに印刷されているキーコードからRHINOモバイルにアクセスしてCMソングをダウンロードさせる)などを考えているという。
60年代〜80年代をリアルタイムで過ごした人だけでなく、“大人のロック”を愛するすべての世代にとって新たなポータルとなりそうな「RHINOモバイル」。レッド・ツェッペリンなど大物アーティストの配信開始に期待しつつ、今後の動きに注目したい。
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▲ ワーナーミュージック・ジャパン ストラテジック本部 デジタル推進グループ チーフプロデューサーの三樹門太氏。「着うたで大人のロックを提供するサイトはほとんどない。認知度を上げて多くのユーザーに活用してもらいたい」という 【画像をクリックすると拡大表示されます】 |
■アクセス方法
・「メニューリスト」→「着うた/着モーション」→「Rock/Club/洋楽」→「RHINO 公式ロックPOPS」
・サイトURLアドレス:http://rhino.wmg.jp/
■情報料
・月額315円(300ポイント)コース/525円(550ポイント)コース、個別課金(1曲あたり)着うた105円(100ポイント)/着うたフル315円(300ポイント)
※ポイントは2カ月繰り越し可能
■対応機種
・NTTドコモのFOMA以上
| 筆者紹介 コジマ リョウヘイ |
| 1975年東京生まれ。学生時代よりマスコミを志し、業界紙を発行する新聞社に入社。03年からNarinari.comにライターとして参加し、06年フリーに。音楽、野球、漫画、ファッション、酒と出費がかさむ趣味を持つため、日々ストイックな生活を強いられている。購入した車が1カ月で炎上するなど、運のなさは一級品。 |














