日記の「読み逃げ」はマナー違反!?

 3月15日、“日本初、最大級のQ&Aサイト”をうたう「OKWave」に、「読み逃げ」という新語をネットに広めるきっかけとなる、興味深い質問(QNo.2835346)が掲載された。

QNo.2835346 ミクシィで読み逃げするマイミク!
ミクシィのことで悩んでいます。私は女性で、マイミクが20人くらいいます。普段は楽しく、参加していますが、マイミクのうちの1人が日記にコメントをしてくれないのです。いわゆる「読み逃げ」=密かに読みにくるけど、コメントしないという状態です。
(中略)
彼女は自分が読み逃げをしているという意識はゼロかと思いますが、どんな考え方なんでしょうか?
自分にしか興味がないのか、自分の伝説をよく書いています。
ミクシィで悩みたくはないし、このマイミクのように他人に興味がない人とは、お付き合いできそうにないと思っています。
何とか改善できればと思います。彼女に気づいてもらう方法は何かありますか?早めに締め切ろうと思っています。

この質問、現在ではすでに消去されているが、「ウェブ魚拓」というサイトを利用すれば閲覧が可能だ

 質問者の言い分は「友人なら日記を読んだらコメントをつけるのが礼儀なのに、読み逃げするのは許せない」ということだ。この質問をマジに受け止めた人が少なくなかったのは、「はてなブックマーク - OKWave ミクシィで読み逃げするマイミク!」のユーザー数が350を超えている(3月31日現在)ことや、「Googleニュース」で「読み逃げ」を検索するとこの話題を取り上げたニュースサイトがいくつも引っかかることから分かる。


「読み逃げ」の質問は“釣り”だった!

 でも、この質問は“釣り”だったようだ。“釣り”というのは、“ネタ(ウケを狙ったウソの書き込み)”を信じ込ませようとする一種のイタズラである。「はてなブックマーク」の3月16日のコメントに、この話題を“釣り”だと見抜いたものがある。

2007年03月16日 memoclip mixi, これはひどい, neta これ釣りじゃね?質問者の質問は一件。回答者No.1、No2、No.4の回答数も各1件のみで、質問後10分で締め切ってるし(しかも答えるまでの時間がかなり短い)。OKwaveってそんなすぐ答えが来るところなのかな。

 そして、この“釣り疑惑”をダメ押し的に解析したのが、「はてな匿名ダイアリー」のエントリー「人は何故こんなにも簡単に騙されるのだろう。(mixi読み逃げ問題)」だった。一部を抜粋すると

質問者も含め7人中4人の登録日が、質問・回答の行われた3月15日当日で、 それぞれの質問・回答数も無いに等しい数字である。 また、上にあげた回答者3人は、質問者に対しておおむね賛成的な意見を述べているのに対して、

上にあげなかった残りの3人の回答は

  気にしないが1番。

  気にしすぎでは?

  ゴメンナサイ…
  私も読み逃げ犯です…m(__)m

と、このような具合である。

上記のことからこの一連のやりとりが、質問者の自作自演によるものであることは間違いないと思うのだが
一部ニュースサイトまで真に受けて記事にしてしまうというありさま。

 質問が掲載された当初は「ネットリテラシー(ネット上の情報を扱う能力)の低いmixiユーザーがまた変なことを言い出した」みたいな反応が多かった。そう思っている人たちは見事に釣られてしまったわけだ。が、このエントリーをきっかけに風向きが一気に変わり、むしろ「読み逃げ」を話題にしている(=釣られている)人には困ったもんだという空気になった。

「mixi読み逃げ」ネタが釣りであることを説明したエントリー。さらに詳しいまとめが、「はてなダイアリー」の「Student magazine - 「mixi読み逃げ」の真相は120%自作自演だよ」や「ARTIFACT@ハテナ系 - mixi日記の読み逃げ質問はどのような経緯で発見されたか?」にある


反省すべきはネットのニュースサイト

 今回の釣り騒ぎで反省しないといけないのは、釣られまいとしてネットリテラシーを高めることではないように思える。この釣りを見破るのは簡単なことではないからだ。

 問題なのは、このネタに食いついて騒ぎを大きくしたのが、まともなニュースサイトだったということだ。ニュースサイトの影響力は個人レベルのブログなどよりもはるかに大きいし、信頼に足る情報を提供していると思われているのだから。

 しかし、ネットの話題探しに忙しいニュースサイトは、案外この手の“釣り”に弱い。今回の騒動でそれが露呈してしまった。

 「読み逃げ」の質問が“釣り”だとは完全に証明できるわけではないが、前述の分析からも“釣り”と判断するのが妥当だろう。であれば、このネタに釣られたニュースサイトはそのことを追加情報として提供するべきではないだろうか。そして、“釣り”を見破ったユーザーの声を伝える方法を考えてほしい。

筆者紹介 佐藤 信正(さとう・のぶまさ)
テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士の免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。

著者

佐藤 信正(さとう のぶまさ)

テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。