座談会の2回目は、大きなブースを構えていたキヤノンに関して。両カメラマンが一番注目したのは、意外にも「EOS-1D MarkIII」以外の製品だったのだ!

 米国・ラスベガスで行われたカメラ機器の展示会「PMA2007」を総括するカメラマン座談会の2回目は、プロ向けデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D MarkIII」が大きな話題になったキヤノンに関して。前回と同じく、PMAの会場を隅から隅まで取材した桃井一至カメラマンと吉村 永カメラマンにお時間をいただき、会場で目にした新製品に関してざっくばらんに語ってもらった。(磯 修)


――続いては、入口ゲートの正面にブースを構えていたキヤノンについてお願いします。

吉村:PMAで新しいニュースがなかったのはちょっと残念かな。

桃井:いやいや、PMA開催の1週間前に発表になった「EOS-1D MarkIII」、あれをPMAのニュースに含めてあげないとかわいそうだよ(笑)。

話題のプロ向けデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D MarkIII」は、本体の仕上がりの高さのみならず、新ストロボ「580EX II」との連携機能を高く評価

吉村:キヤノンといえば「変わったことやる、進んだことやる、すごいことやる」とユーザーからの期待が高まりすぎて、よほど大きな飛び道具を出さないとユーザーが喜ばない状況になってるけど、今回も近ごろのキヤノンらしい地道な改良を行ってきたね。

桃井:ここ数年、そういう傾向があるよね。従来機の不満を1つ1つつぶしてくるなど、我々が予想できる範囲内でしっかり詰めを行って改良してきている。「おお、今度はそんなことしてきたんだ!」というサプライズはなくなった。

吉村:メーカーから何もアナウンスがないんだけど、旧モデルを使っている人が新型を触っていると「おお、こんな部分がよくなってる! しっかり改良したんだ」と感じられる。そんな進化が多くなった。

桃井:前の型からずっと使っていると、そのよさが分かってくるよね。それと、以前と比べると、近ごろのキヤノンのカメラは本当に壊れなくなったよね。ふだん、僕はかなりシャッター切っている方だと思うけど、それでもなかなか壊れない。

EOS-1D MarkIIIと同時発表になった「580EX II」。デザインや基本性能は580EXとほぼ同じながら、使いやすさが格段にアップしたと評価

吉村:そうそう、キヤノンの新製品で注目したいのは、ストロボをしっかり改良してきた点かな。今回発表になった580EX II、型番がほんの少し変わっただけだから何でもないのかと思ったんだけど、防水仕様にしたり、カメラへの固定がワンタッチで行えるようになったり、外光オートに対応したりと、何げにうれしい改良を施してきたんだよね。

桃井:外光オートは早く付けて〜、と何年も言ってきたからね(笑)。シーリングを施して防水にするのはかなり大がかりな変更だと思うから、本当は型番を「590EX」とか変えていいぐらいのモデルチェンジだと僕は思うね。

吉村:カタログスペックだけを見ると、ガイドナンバーは58で従来と同じだし、一見すると何が変わったのかなと思う。だけど、EOS-1D MarkIIIと接続した場合に、カスタムファンクションの設定変更がとても便利になった。絞り込みボタンを押してのモデリング発光や、背面のダイヤルを回せばダイレクトに調光補正可能にしたりするのがカスタムファンクションで設定できるんだけれども、それらの設定変更がカメラ側の液晶モニターで分かりやすく行えるようになったんだよね。

桃井:これまでは「CF-1」の項目を「1」にするという具合で、撮影現場で何か設定を変えようと思っても、説明書を見ないとどうしようもなかった。だけど、この新システムでは、そういう手間がなくなった。こういうの、結構大切なんだよね。

大口径の広角ズームレンズ「EF16-35mm F2.8L II USM」は、フィルター径が大きくなった点を鋭く指摘。今後、このクラスの高級レンズでフィルター径を揃えるのでは、と予想した

吉村:EOSの交換レンズだと「EF16-35mm F2.8L II USM」が出たね。実際にまだこれを使って撮ってないけど、フィルター径が77mmから82mmに大きくなった。82mmって、キヤノンでは初めてじゃないかな?

桃井:わざわざフィルター径を大きくしたのは、何かしら理由があるんじゃないかな。ひょっとしたら、このクラスの大口径レンズでフィルター径を統一するのかもね。大きくする方が画質向上には有利だし、フィルター交換をする利便性を考えて。あれが第一弾で、今後70-200mm F2.8Lもモデルチェンジで82mmにするかもしれない。24-70mm F2.8Lは、ISを入れつつフィルター径を82mm化するかもね。この2本、出てからちょっと時間が経ったし、今後、何かしらの動きがあるかもしれない。

――ありがとうございました。

カメラマンのプロフィール紹介
桃井一至さん
フリーカメラマン。コマーシャル写真などの撮影のみならず、カメラ誌の記事執筆や講習会での講演など、カメラ業界で幅広く活躍している。昨年にNHK教育テレビで放映された「趣味悠々 デジタル一眼レフ撮影術入門」のDVDが発売中!
(撮影:鹿野貴司)
吉村 永さん
フリーカメラマン。テレビ番組製作会社やデジタルカメラ専門誌の編集などを経てフリーに。デジタルARENAをはじめ、カメラ関連媒体や広告媒体、各新聞などで幅広く活動中。カメラのメカニズムにも造詣が深く、解説記事の執筆も多い。