Webブラウザ「Opera」は、1994年から開発が始まり、パソコンだけでなく携帯電話やPHS、PDAなどのモバイル、さらにはゲーム機やミュージックプレーヤーなどの組み込みデバイスといった、ネットワークが利用できるさまざまな機器上で動くWebブラウザを目指している。Opera Software ASAは、言うなればWebブラウザの“スペシャリスト”企業だ。

Opera Software ASA社の技術部門副社長Christian Krogh氏。Operaといえば、創業者でCEOであるJon von Tetzchner氏が大西洋横断にチャレンジしたりと有名だが、Krogh氏も技術部門を統轄するキーマンだ。いろいろな質問に対して、非常に気さくに、そして楽しく答えてくれた

 特にここ最近は、日本企業や日本市場との相性がいい。販売が好調な任天堂のゲーム機「Wii」や「ニンテンドーDS」に採用され、話題となったのは記憶に新しいところ。さらにケータイ分野では、au「2007年春モデル」でのPCサイトビューアーの機能アップや、ウィルコム「WX320K」における「Operaサーバーサービス」への対応など、先進性のあるトピックを提供している。

 こうした日本での活動を含め、Operaの現状と今後について、来日した技術部門副社長のChristian Krogh氏を交え、日本法人代表のブレント森氏、同広報およびモバイル/デバイスマーケティング担当の壽(ことぶき)かおり氏の3人に話を伺った。



ケータイ・組み込み向けが好調なOperaブラウザ

 Operaでは、Webブラウザをパソコン向け「Opera for Desktop」、ケータイ向け「Opera for Mobile」、組み込み機器向け「Opera for Devices」という3つのカテゴリーに分けて提供している。多くのデバイスに対応するOperaだが、搭載する機器のハードウエアスペックやアプリケーションなどによってソリューションを分けている。

 スペックについてだが、特に「Opera for Devices」に含まれる製品には大きな幅があるそうだ。そのため、「Opera for Mobile」と「Opera for Devices」については、スペックによる違いはそれほどないとのこと。またケータイ向けには、組み込み用となる「Opera Mobile」とJavaで作られている「Opera Mini」がある。これらの大事な点は、Operaブラウザが多くの機器で動作するマルチプラットフォームに対応しているということに尽きる。

Krogh氏が持っているのがLinux搭載のメディアプレーヤー「Archos 604 WiFi」。組み込み向けとなる「Opera for Devices」は、「SHARP Zaurus SL-6000」や「SONY mylo」、「Nokia 770 Internet Tablet」といったPDA、「Wii」や「ニンテンドーDS」といったゲーム機、「岩崎通信機 Visual-KT」といったIP電話など多彩な機器にOperaが採用されてきている
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Krogh氏が「大学の授業みたいだね」と笑いながら、Operaについて大まかに説明してくれた。ホワイトボードの左側の図は、Operaブラウザのコアエンジンが、周りにある各種プラットフォームに対応していることを示している。同右下は、Operaの3つの製品群「Opera for Desktop」「Opera for Mobile」「Opera for Devices」の一般的な違いを示したもの
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――現在の各製品の状況について教えてください。

Christian Krogh氏:各市場にはそれぞれ波があり、これまではデスクトップからモバイルへ波が動いていた。この次は、ネットワークデバイス、つまりゲーム機やセットトップボックス(STB)、メディアデバイスなどのネットワーク接続できるものすべてに波が動くと考えている。実際、昨年から任天堂のゲーム機「Wii」など、組み込み向けの製品での採用が増えている。

――モバイルや組み込みとデスクトップは、バージョンが同じならコアエンジンは同じなんですか?

Krogh氏:エンジン自体は同じだ。組み込み向けの開発を請け負ったときに、パソコン向けのコアエンジンから枝分かれして開発が始まる。この時点では全く同じエンジンとなる。ただ、それぞれのモバイルなどの機器向けに開発やチューニングをしていく途中で、幹であるパソコン向けのコアエンジンも同時にバグフィックスや開発が進んでいるため、厳密にはちょっと違うものになっている。

――モバイルや組み込みの各機器で、コアブラウザのバージョンが違うのはなぜですか?

Krogh氏:基本的に開発スケジュールとコストがかかわっている。できればOperaとしてもそろえたいが、なかなかスケジュール的に難しい。

Operaブラウザのコアエンジンロードマップ。コアエンジンは斜めに各プラットフォームに対して統一して進化していき、各機器向けに枝分かれしていく。Opera7.0からは以前の「Elektraエンジン」から「Prestoエンジン」に一新された。WX320KなどのiTRON向け製品は7.0のところから分かれたということになる
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Opera Software ASA社日本法人代表のブレント森氏。今回は日本市場の具体的な話を、非常に丁寧に説明してくださった。手元には愛用マシンなのかウィルコム「W-ZERO3 [es]」が置かれていた
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「Wii」ブラウザに見るユーザーインターフェースの妙

――任天堂の「Wii」や「ニンテンドーDS」にも採用されましたよね。

Krogh氏:任天堂との仕事は非常にエキサイティングで有意義だった。最近では、GoogleがWii専用のポータルページを作った。GoogleはWii専用のライセンスを持っていないので、独自のアプリケーションを作ることできないが、Opera上でWii用のスタイルシートさえ用意すれば、うまく見せることができる。ちょっとインターフェースを変え、Operaブラウザで“Wiiっぽく”することで、テレビやラジオにもなるんだ。

 Operaのビジョンは、パソコンでも携帯電話でもメディアプレーヤーなど、どんなデバイスでもコンテンツにアクセスできるようにすることだ。

――WiiやWX320KのOperaで、独自の機能はあるのですか?

Krogh氏:ブラウザのエンジン自体はパソコン向けがフラッグシップだが、UI(ユーザーインターフェース)に関してはそれぞれのデバイスに合わせた機能拡張を行っている。例えば、Wiiの場合はリモコン操作をしやすいUIにしたり、ブックマークの見せ方を工夫している。また携帯電話向けの製品であれば、小さな画面サイズに合わせたレンダリングや、十字キーで操作しやすいUIを提供している。そのような端末独自の機能のうちいくつかは、パソコン向けには実装していないものがある。

――それらをパソコン向けに実装することはありますか?

Krogh氏:イエス。ただ、すべてではない。各デバイスに合わせて作られた機能が、パソコン向けにも応用でき、それがユーザーにとって便利なものであればもちろん検討する。

任天堂「Wii」はWebブラウザとしてOperaをベースとして開発された「Wiiインターネットチャンネル」が利用できる。UIも使っていて“楽しい”を詰め込んだWiiに合わせた使いやすいものになっており、拡大縮小などが快適に行え、OperaがWiiとインターネットをつなぐ重要な役割を担っている。現在はお試し版だが、近々正式版が配布予定
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WiiのOperaブラウザで「Google Video」を表示しているところ。Wii向けとなるスタイルシートを用意することで、テレビのように映像を閲覧できるようになっている
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「YouTube」で人気のあるムービーをピックアップして、テレビのようなインターフェースで見ることができる「Stumble.Video」は有名なサイトだ。日本でも似たようなサービスをはてなの「Rimo」で利用できる。テレビは無線LANでネットワークにつながっているが、映像はスムーズ
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finetune」という音楽SNSサイトにおけるWii向けに作られたインターフェース「Finetune Player」。こちらはFLASHでできている。Wiiをジュークボックスやインターネットラジオのように利用できる。もちろん、パソコンからも使える
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NEXTOperaサーバーサービスやウィジェットについて聞いてみた