「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」の生みの親である小山薫堂さん。オリジナリティあふれる番組制作の裏には、小山さんらしいケータイの活用法がありました。


“モバイラー”小山さんのケータイ活用法

――携帯電話を初めてお持ちになったのはいつですか?

小山:1990年、26歳でフジテレビの深夜番組『カノッサの屈辱』の構成を手がけていた頃ですね。筆箱くらいの大きさで、かなり重かった。周囲のみんなからは、珍しがられましたね。

 猛烈に忙しかったので、1994年頃にはモバイラーのハシリのようなことをしていました。クルマの中で原稿を書いて、相手先に送信していたんです。

 当時のワープロは充電式ではなかったので、まずDCをACに変える変換器につないで原稿を打ちます。その原稿をプリントアウトして、携帯電話につないだ携帯用ファクシミリを使って先方に送るんです。ワープロのプリントアウトもFAXの送信も、スピードがすごく遅くて……。あの頃から考えてみると、今みたいにパソコンとかケータイで文章を書いて、プリントアウトすることなく直接メールで相手に送ることができるっていうのは、夢のようですよ。

――そんなに早くから“モバイラー”だった小山さんは、今、ケータイをどんなふうに使っているのですか?

小山:一番多い使い方は、パソコンに来たメールのチェックですね。パソコンに変な迷惑メールが来るじゃないですか。いくつかのアカウントがあるので、1日に100件以上入ってくるんですよ。それを自分のパソコンに入れたくないので、ケータイを使って、メールサーバーに届いた時点で消去していくんです。

――毎日100件以上の迷惑メールを消去しているんですか?

小山:ええ。今もここに来るまでの間に、昨日の夜から今朝までの間に来た30件以上の迷惑メールを消去してきました。簡単に消せれば苦労しないのですが、最近の迷惑メールは「ごぶさたしています」とか「お久しぶりです」というタイトルで来たりもしますから(笑)。

 あと、怖いのが英語の迷惑メール。英語だからといって無条件に消していると、たまに「海外の人からの大事なメールを消しているんじゃないか?」と不安になることもあります。

――大変ですね。代わりにやってもらうよう、誰かに頼んだりはしないのですか?

小山:僕にとっては“ヒマつぶし”みたいなものかもしれません。「プチプチ」とか「エアーキャップ」と呼ばれているこん包材、あれをつぶしている時みたいな気持ちかな。消去する心地よさっていうか、迷惑メールを自分のパソコンに入れずに消すっていう喜びを感じていますよ(笑)。

――お仕事では、ケータイをどんなふうに使っていますか?

小山:メモとして利用することが結構ありますね。メモしたいことをメールとして書いて、保存メールのところに入れておくんです。

 例えば、今だと、ここには……「ブログ ゴージャスカレー姉妹」って書いてありますね。僕は“カレー好き”なので、知り合いから「“ゴージャス カレー姉妹”って知っていますか?」って言われて、忘れないようにメモしたんです。「叶姉妹」とかけているらしく、食べているものはB級なんですけれど、口調はゴージャスで、おもしろい(笑)。

 あとは……落語の「文七元結」とか、「ジレンマの語原」っていうメモもありますね。

 手帳だと遊びにいく時に持って行かないこともありますが、ケータイはどんな時でも必ず持っていますから、こちらにメモした方がいいんです。

――なるほど。それでは、写真を撮るのもケータイの方が多いのですか?

小山:写真はケータイとデジカメと両方使いますね。ただ、デジカメはカバンに入れているので、遊びでカバンを持たずに出かける時など、ケータイで写真を撮ることは多いですね。今、BSフジの番組「Fashionista@Tokyo」で写真日記みたいなコーナーを持っているのですが、そこでもケータイの画像を使っています。

――ケータイの着信音に凝ったりはしないのですか?

小山:今はしないですね。時と場合によっては、凝った着信音だと恥ずかしいじゃないですか。

 昔、“人の声”の着信音を使っていたことがあるんです。ダウンタウンの松本人志さんと浜田雅功さんがFAXの受信音を「ピ〜〜、ヒャララロラロ〜〜」って自分の声で言っている着信音でした。

 ある日、とあるホテルにチェック・インするため、僕は颯爽(さっそう)とロビーに登場しました。カウンターで「小山様、いらっしゃいませ。サインをお願いいたします」と言われたので、サインをしていたら、電話がかかってきて「ピ〜〜、ヒャララロラロ〜〜」って。松っちゃんと浜ちゃんの声がホテルのロビーじゅうに鳴り響いて、ホテルマンにも「ぷっ」って吹き出されて(笑)。

 ですから、今は普通の着信音ですよ。

 次回は、小山さんに、「ケータイに求める条件」についてお話していただきます。お楽しみに!

小山薫堂さん
放送作家。
1964年熊本県生まれ。
「東京ワンダーホテル」「キャンティ物語」など
テレビ番組を数多く企画。
2003年には「トリセツ」(テレビ朝日)で
国際エミー賞を受賞。

現在
『世界遺産』(TBS)、
『アイデアの鍵 貸します』(フジテレビ)、
『未来予報201X』(日本テレビ)などを
手掛ける一方、ラジオパーソナリティー・
雑誌連載・アドバイザーなど多岐にわたり
活躍中。

(文:佐保 圭)