もうあちこちで言われていることだが、Windows Vistaは“メモリー喰い”だ。Windows Aeroを使わなければ512MBで何とかならないこともないが最低1GB、できれば2GBは搭載したい。

 しかし、世の中にはそんなにメモリーを増設できないパソコンもある。メモリー増設スロットがなかったり、すでに埋まってしまっているものだ。そんなパソコンに有効なのが、外付けフラッシュメモリー(USBフラッシュメモリー、SDメモリーカード、CFカードなど)をメインメモリーの代わりに利用する「Windows ReadyBoost」(以下、ReadyBoost)である。

 ReadyBoostについては以前書いたが、フラッシュメモリーの性能によっては、使えなかったり、使えても効果がイマイチだったりする(ReadyBoostが利用可能なデータ転送速度について、マイクロソフトは公表していない)。そこで今回は実際にフラッシュメモリーを用意して、どれだけ効果があるのか試してみた。用意したのは以下のもの。

アイ・オー・データ機器のSDメモリーカード「SDP-2G」(実売価格9880円)。容量は2GB。Read時のデータ転送速度が20MB/s超という高速なSDメモリーカード アイ・オー・データ機器のUSBフラッシュメモリー「TB-BH1G/B」(実売価格5980円)。データ転送速度の速さが特徴の新製品で、同社WebサイトにはWindows ReadyBoost対応の記載もある。容量と色は各種あるが、今回は1GBモデルを使用

 その他に比較用に、A社製のUSBフラッシュメモリー(容量512MB、Read時のデータ転送速度が約8MB/sと表記されていた)、B社製のSDメモリーカード(容量1GB、秋葉原で約2000円で購入したもの)、C社製のSDメモリーカード(容量1GB、某大手国内メーカーの製品)を用意した。

 SDメモリーカードについては、テストしたパソコンにSDメモリーカードスロットがなかったため、カードリーダーを経由して試した。実はこのカードリーダーも2種類テストしてみたが(どちらもUSB2.0対応の製品)、片方のカードリーダーでReadyBoostを利用できたSDメモリーカードでも、別のカードリーダーでは利用できないことがあった。カードリーダーの性能によってもReadyBoostが使えないことがあるようだ。

SDメモリーカードは、このようにカードリーダーを介してテストした。カードリーダーとSDメモリーカードの性能が十分なら、これでもReadyBoostが使える。もちろんパソコン内蔵のSDメモリーカードスロットでもOK

まずは接続して容量を割り当てる

 早速テストしてみよう。フラッシュメモリー類を接続すると、まず下の画面が表示される。今回は、Vistaが推奨する初期状態の割り当て量のまま、ReadyBoostを利用してみた。

接続するとこの画面が表示される。ここで「システムの高速化-Windows ReadyBoost使用」を選ぶ

ReadyBoostが使えるフラッシュメモリーだと、上のような画面が表示される。ここで「このデバイスを使用する」をチェックして、使用するメモリー容量を割り当てる。画面はSDP-2Gを接続した場合で、容量2GBに対して約88%の1810MBが初期状態で推奨されている 上の画面はTB-BH1G/Bを接続した場合。容量1GBに対して約88%の880MBが初期状態で推奨されている。初期状態では約88%のメモリー容量を利用する仕組みになっているようだ。スライダーを左右に動かして割当量を設定することもできる

データ転送速度が遅くてReadyBoostが使えない場合は、このようなメッセージが表示される。A社製USBフラッシュメモリー、B、C社製SDメモリーカードはすべてここでアウトとなった ReadyBoostを使うには、フラッシュメモリー内に約235MB以上の空き容量が必要。容量不足でReadyBoostが使えない場合も、このように無情なメッセージが表示される

 A社製USBフラッシュメモリー、B、C社製SDメモリーカードではReadyBoostを利用できなかった。約1年前に購入した某大手国内メーカーのC社製SDメモリーカードがアウトだったのは驚きの半面、残念だった。

 ちなみに、どれほどの効果があるのか、ベンチマークソフトの「HDBENCH」(EP82改/かず氏作)を使って測ってみた。CPUやHDD、画面描写を測るソフトで、ここではメモリー性能の値を見る。結果が下の表で、B、C社のSDメモリーカードとSDP-2GではWrite値に大きな差が出た。一概には言えないが、この数値が大きければ大きいほど、ReadyBoostで大きな効果があるようだ。

Read Write Copy
アイ・オー・データ機器 USBフラッシュメモリー TB-BH1G/B
(ReadyBoost利用可能、効果大)
29628 13613 4370
アイ・オー・データ機器 SDメモリーカード SDP-2G
(ReadyBoost利用可能、効果はまずまず)
9726 8265 1292
B社製 SDメモリーカード
(ReadyBoost利用不可)
8890 4794 2024
C社製 SDメモリーカード
(ReadyBoost利用不可)
7629 5058 1600

なるべく新しいフラッシュメモリーを

 実際にReadyBoostを利用してみての体感速度は、次のような感じだった。

アイ・オー・データ機器 SDメモリーカード 「SDP-2G」
取り付け前に比べてソフトの起動が速くなった。また複数ウィンドウを開いている時に、それらの切り替えが速くなり、待たされる時間が短くなった。ただし、全体的にそれほど速くなったような感じはしない。

アイ・オー・データ機器 USBフラッシュメモリー 「TB-BH1G/B」
SDP-2Gと基本的に同じような体感速度の向上が感じられたが、こちらの方が全体的に速度の向上がハッキリと感じられ、効果は大きかった。

 TB-BH1G/BよりSDP-2Gの方がメモリー容量が多く、数値的には速度の向上が体感できると予想していたため、意外な結果と言える。もしかすると、カードリーダー経由と直挿しによる差が出たのかもしれない。とはいえReadyBoostが体感速度の向上に有効なのは確かだ。

 効果が大きかったTB-BH1G/Bは11月発売の新製品で、Vista対応をパッケージに明記している。ReadyBoostを使うことを考えてフラッシュメモリー製品を選ぶ時は、こうしたVista対応を明記した高速な製品を選ぶ方がいいだろう。

 ただしTB-BH1G/Bを取り付けた時も、さすがにメインメモリーを増設した時のような劇的な体感速度の向上はなかった。ReadyBoostは、あくまでもメインメモリーを増設できない場合の補助的な手段と考えよう。

 ちなみにReadyBoostのメリットは体感速度の向上だけではない。ReadyBoostによってHDDへのアクセスが減ればHDDの騒音や発熱の低減につながり、HDDの寿命延長にもつながる。もちろんフラッシュメモリーにも読み書きによる寿命はあるが、最近はフラッシュメモリーの値段もかなり安くなっているので、ダメになったら交換する、ぐらいの感覚で使えばいいだろう。

筆者紹介 湯浅 英夫(ゆあさ・ひでお)
ラフマニノフを聴きロイヤルミルクティーを飲みながら優雅に仕事をこなすエグゼクティブナイスガイ。取材、編集、執筆、撮影、演奏、運転手、アニメ鑑賞と犯罪以外何でもこなし、自作PCから地デジ関係、携帯プレーヤー、OSやソフトの解説まで幅広くこなし、Webや雑誌を中心に活動中。松坂選手すごいですね。俺2000人分かよ。