最近ますます「FC2ブログ」が気になってきた。「ライブドア」や「楽天」「goo」といったところに比べると、決して知名度が高いわけではないし、宣伝などもそれほど積極的にやっているわけではない。タレントブログ絡みの話題も、ついぞ聞いたことがない。しかし、グングン利用者を増やしているが、このFC2ブログなのである。

 パソコン誌「週刊アスキー」の10月24日号に掲載された「アクティブユーザー数で斬る! 無料ブログサービス10」によると、FC2ブログはついに1位になっていた(ちなみに2位はYahoo!ブログで3位は楽天広場)。こういったデータだけでなく、ネットを見ている肌感覚でも、FC2ブログの利用者は増えていると思う。定点観測していたブログのいくつかもFC2ブログに移転したし、「このブログ、面白いな」と思って見ると、FC2ブログだったりするケースが増えてきた。

アクティブユーザーが急増している「FC2ブログ」の人気の秘密とは?

 1年くらい前からFC2ブログユーザーが増えているのは、感じていたのだが、それは「アダルトのせいなのかな?」とちょっと思っていた。今でも、大手のブログプロバイダーでアダルトを解禁していたのがライブドアブログとFC2ブログくらいなので、なんとなくそう感じていたのだが、決してそれだけが要因ではないような増え方に思える。そこで、FC2ブログの強さ、人気の秘密はどこにあるのか――といったところを、FC2ブログの広報担当・足立さんに聞いてみることにした。

 「人気の要因となると、まずテンプレートの数が挙げられると思います。現在、およそ2500種類以上ありますが、これは他社と比較しても圧倒的に多い数になります。次は、最もよく使う記事投稿・編集ページが使いやすくなっている点でしょうか。これはワープロ感覚で編集することができる「WYSIWYGテキストエディター」というツールを採用しているためでして、編集画面を使い分けることによってHTML編集も可能です。また、絵文字も全携帯電話会社に対応しております」

 豊富なテンプレートや、入力支援機能の充実は、ユーザーの要望を反映した結果だと足立さんは言う。このようなユーザーの声を意識したサービス展開は、サポート面にも表れているのだとか。

 「通常のヘルプの他に、ユーザーによるサポートQ&A・公式Q&A・サポート掲示板・カスタマイズマニュアルを充実させて、疑問点をすぐに解決していただけるような体制をとっています。また、どうしても解決できないユーザーのために、メールでのサポートも行っております」

 ここまでの話だけだと、FC2ブログは、初心者をターゲットにしたサービスの印象があると思うが、その機能は実に多彩で、ヘビーユーザーが納得するポイントもとても多い。プラグイン機能を利用することにより、多種多様なブログパーツを簡単に設置することができるし、URLがサブドメイン形式ためSEOの面でも有利。もちろん、携帯電話からの投稿・閲覧も可能になっている。また、アフィリエイトは全面解禁であるし、アダルトを含め、ブログのジャンルによる利用制限は全くない。

 このように初心者はもちろんだが、実はヘビーユーザーが求める機能が過不足なくそろっている点こそ、FC2ブログの強さではないだろうか。アダルトブログ容認ゆえの強さという面も、実際には「アダルトブログの割合は全体の2.8%になります」とのことで、決して大きい数字とは思えない。アダルトを含め、ビジネスで利用している人が多いため、アクティブユーザー数を測定するランキングでは上位に来る傾向にあると考えられるとはいえ、「アダルト容認だから強い」という図式にはちょっと遠いだろう。

 ということは、FC2ブログの強さの要因は、足立さんのこんな言葉に集約されるのではないだろうか。

 「ユーザーの要望にできる限り耳を傾けることにより、ユーザーが本当に必要としている機能を随時アップしています。当たり前のことですが、今も昔も変わりなく求められるものは、やはりサーバーの快適性・安定性、安全性、ブログサービス運営の柔軟な姿勢ではないでしょうか」


キーワードは、「コミュニティー求心力」の低下か?

 FC2ブログの足立さんのお話は、すべて納得がいくものだった。ただ、「ユーザーの要望を反映して〜」という台詞は、各社から聞くものなので、FC2ブログの強さが、その言葉だけで証明できるものとも思えなかった。

 ただ、ぼんやりと分かったというか、感じたことがあった。それは、ブログプロバイダーが提唱してきた「コミュニティー」という言葉に求心力がなくなっているのでは――ということである。

 2004年12月刊行の「このブログがすごい!2005」という本を作った時に、ブログプロバイダーを10社取材した。「ココログ」「ブログ人」「エキサイトブログ」「ライブドアブログ」「gooブログ」「楽天広場」「アメーバブログ」「はてなダイアリー」「Seesaaブログ」「ヤプログ!」の10社である。この時、しばしば耳にしたキーワードに「コミュニティー」という言葉があった。これは、ブログを楽しんでもらうため、そしてブログユーザーを増やすために、各ブログサービス内での良質なコミュニティー作りに力を注いでいるというものである。

 眞鍋かをりら有名人にブログを書かせる「タレントブログ」を始めたココログも、その動機を「コミュニティーの中に有名な人がいると、そのコミュニティーが活性化するから」と言っていた。

 このように、多くのブログプロバイダーが、自社サービス内における良質なコミュニティー形成に、かなり力点が置いていたわけである。このことを「SNS的機能を強化していきます」という言葉で表しているプロバイダーもあった。そして、実際のところ、そういったサービスごとにおけるコミュニティーというのは、一定の求心力があり、ユーザーもそんな観点でブログサービスを選んでいたように思う。

 しかし、時代は変ったのかもしれない。コミュニティーよりもツールとしての使い勝手を追求している感のあるFC2ブログの強さは、こういったブログにおけるコミュニティーに、求心力がなくなったことを意味するのかもしれない。その要因になっているのは、やはりミクシィに代表されるSNSだろう。

SNSの代表格「ミクシィ」のトップページ。入会には会員からの招待が必要

 それまで、自分の友達にだけ読んでもらえればよかった日記をブログに書いていた人がミクシィに流れた。また、ブログごとのコミュニティーを楽しんでいた人たちが、もっと濃いコミュニティーを求めてミクシィをメインで利用するようになった。もちろんブログというツールも、昔と比べればずいぶん認知されたし、普及もした。ただ、新たに利用する人は、お店の経営者に代表されるような、自分の活動を広く認知してもらいたい人が増えたのではないだろうか。

 ミクシィなどのSNSの台頭によって、ブログでコミュニティーを求めることの意味合いが希薄化してきた。となると、ブログに求められるのは、その操作性やSEOで有利さなどの、機能面となる。つまり、コミュニティーを求める人は、ブログからSNSに移行し、新たにブログを始める人の多くが、純然たる機能だけを求めてブログを始めるようになったのではなかろうか。

 個人的にFC2ブログと同じスタンスだと思うブログプロバイダーに「Seesaaブログ」があるのだが、ここの担当者は「我々は、使い勝手がいいツールを提供するだけです」と言っていた。今、多くのブログ利用者が求めている時代の気分はここにあるのかもしれない。

筆者紹介 岡部 敬史(おかべ・たかし)
72年京都市生まれ。「別冊宝島」の編集を経てライター・ブログ評論家。著書に「ブログ進化論――なぜ人は日記を晒すのか」(講談社プラスアルファ新書)。「Web2.0殺人事件」(イースト・プレス)。多くの人が、どこでブログをやるのかという場所に対するこだわりが、なくなっている気はしますね。こだわりを持って選ばれているのは、「はてな」「エキサイト」「楽天」くらいかなぁ。そういえば、昨年、一昨年はわりと注目してた「トラックバック企画」というのも、僕自身、とんと注意を払わなくなってしまった。そう思ってちらちら見てたらけっこうあった。まだ健在なのだ。