「た、大変です。時報がないんです!」――地デジライフを満喫しているイラストレーターの千夏ちゃんから、久々に連絡がきた。なにかと思ったら、「地上デジタル放送ではNHKの時報が放送されない」というのだ。そんなバカなことがあるだろうか? しかし、実際にテレビを2台並べて、時報の表示がある12時にチャンネルを合わせた。

千夏ちゃんは、地デジ対応テレパソとアナログテレビを並べて使っているので、デジタル放送の遅れが気になっているようだ。ちなみに正午の時報は地デジでも行われるが、秒針の無い時計が表示される

 地デジと地上アナログの番組を同時に表示すると、地デジの方は数秒遅れて放送されている。なぜだろう。各方面を調べたところ、地デジは番組をデジタル信号に変換して送信する。そして受信したテレビ側で、デジタル信号をアナログ信号に戻してテレビ表示している。言わばパソコンのデータのように圧縮と解凍を行っているので、地上アナログ放送に比べてタイムラグが発生していたのだ。

 これについてNHK 広報局 経営広報部の寺田健二副部長に伺ったところ、「デジタル放送は膨大なデータを圧縮、伸張して放送しています。機器の進歩により放送の遅れ(ディレイ)が短縮することはありますが、“ゼロ"になることはありません」とのこと。

地デジは今のところ、NHKと在京キー局では、スタジオ設備がハイビジョン化されており、フルデジタルで番組製作が行われている。この場合は「撮影スタジオ→送出マスター(放送を送り出すシステム)→エンコーダ間(放送用のデジタル信号へ変換)」はデジタル信号で接続されている。ただしローカル局など、ハイビジョン化を進めている過渡期にある放送局は、既存のアナログ設備を活用し、エンコーダの前でA/D変換している場合もある

 さて、こうなると気になるのが年末恒例のカウントダウン番組だ。年越しライブの中継など、地上デジタル放送を見ている限りタイムラグが発生してしまう。地デジが本格化したらテレビを見ながら正確な年越しはできないのだろうか? 今後、デジタル放送が普及すると、年末のカウントダウン番組の演出も変更されるかも……?

(文:鈴木 桂水/イラスト:朝倉 千夏)