18歳の息子が突然「ザ・ピーナッツって双子?」と聞いてきた。ザ・ピーナッツといえば、1959年にデビューして、歌謡番組「ザ・ヒットパレード」のレギュラーや「シャボン玉ホリデー」の司会だった有名な双子歌手じゃないの、日本人としての基礎教養でしょ。なんで今頃? 「モスラ」のDVDでも観たの? と思ったら、5月17日、日本デビューしたロシアの双子姉妹デュオ「ARAHIS」(アラヒス)のCDを買ったのだという。それで、何でザ・ピーナッツ?

 「アラヒス」って、ロシア語で「ピーナツ」のこと。しかも、そのCDに収録されているのは、「恋のバカンス」「恋のフーガ」「ふりむかないで」など、往年の「ザ・ピーナッツ」のヒット曲。それもほとんどが日本語によるカバー集なのだ。聴いてみると、90年代風打ち込みアレンジに、メリハリの効いた双子姉妹の歌声がいい感じにマッチして、けっこう楽しい。ロシアでも、「恋のバカンス」は有名な大ヒット曲だったそうだから、なじみのあるメロディなんだろうけど、流れるような日本語もうまい。「恋のバカンス」は途中からロシア語バージョンになるんだけど、それが新鮮に聴こえてしまうくらいだ。

 双子って、骨格が似てるから声も近いわけで、それがデュエットすると震えるようなハーモニーとなって感情の琴線を揺らすんじゃないだろうか。アラヒスのハーモニーは、しっとり絡みつくようなザ・ピーナッツのエキゾチックな感じとはちょっと違って、濃密なロシアンな魅力。「ふりむかないで」の楽しげな感じも、「Miss Crazy」の蠱惑(こわく)的な深みも似合っている。

 (つけ?)ほくろの位置でしか見分けのつかなかった日本のザ・ピーナッツと違って、アラヒスは、金髪のナースチャと、黒髪のニーカという具合にクッキリ見分けがつく。服装も清純派。女子高生スタイルでカッコよかったけどお行儀の悪さですっかり評判を落とした「t.A.T.u.」とは、まるっきり違う印象だ。なにしろ、2人の父は声学家でピアニスト、国立アカデミー合唱団のソリストなどを経て音楽活動中、母もピアニストで児童芸術学校の校長先生。祖父・祖母ともに国立フィルハーモニー交響楽団所属というモスクワでも屈指の音楽一家のお嬢様なのだそうだ。そんなところが、お嬢様好きな息子の琴線に触れたのかも。

アラヒスの情報は東映音楽出版株式会社のページでチェック。ダウンロード配信はされていない

 だけど……。そんなアラヒスをなぜ、ほとんどCDはアニメイトでしか買わない(つまり、アニメ・アイドルや声優のCDばっかり買ってる)ウチの息子が知っていたのだろうか。何のことはない、答えはスッキリしていて、この2人、アニメ「鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック」でロシア語の歌を歌っているのだ。曲は「ブラーチヤ」。わざわざこの曲のためにロシアでオーディションをして選ばれたのだそうだ(それがもとで、今回の日本デビューに)。ファンの間ではけっこう話題にもなり、2004年12月にはアニメイベントのために来日もしているのだという。「ブラーチヤ」とは、けっこう印象の違うザ・ピーナッツのカバー……となると、元曲も聴いてみたいという気持ちはよく分かる。ところが探してみると、これが意外と配信されていない。

 かろうじて、OnGenで「お国自慢だ!ピーナッツ」(15曲各210円。アルバムまとめて3150円)というアルバム発見。「ソーラン節」や「島原地方の子守唄」「安里屋ユンタ」など、各地の民謡を歌った1970年のアルバムだ。カラオケも数曲あったが、せっかくだから2人の歌声が聴きたい。もう少し探すと、「夢のシャボン玉ヒッツ」というアルバムに「シャボン玉ホリデー」(210円)「雨にぬれても~恋よさようなら/RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD~I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN」(210円)など4曲が収録されていた。

 Moraを探すと、キャンディーズがカバーした「恋のバカンス」、「恋のフーガ」、「ふりむかないで」(各158円)などが収録されている「キャンディ・レーベル」(アルバム16曲まとめて1050円)というアルバムがあった。iTuneミュージックストアでは、椎名林檎がカバーした「東京の女(ひと)」(200円)を発見。うーん、カバーはいろいろあるみたいだけど……。

 諦めきれずに探したところ、ケータイの「excite 着メロ」サイトで「さよならは突然に」「ウナ・セラ・ディ東京」「情熱の花」など、全9曲を見つけた。さらに、ケータイの「着うたフル(R)(レコード会社直営♪)」には、東宝特撮映画音楽の「モスラの歌(モスラ対ゴジラ)」(210円)が!

 ああ……。やっぱり、私にとってザ・ピーナッツといえば、この、怪獣たちに歌を捧げる小美人。これでやっと、ロシアから、南国のインファント島までたどりついたってわけですね。息子よ、東洋の妖精の歌も、心して聴いてよね!

~本日の青春の合計……1934円。(波多野絵理)

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