2006年の年末までには登場予定の「Windows Vista」。そろそろパソコンを買い替えたいと思っているユーザーも「Vistaの登場を待つかどうか」を考え始める時期になってきたかもしれない。

 しかし“今”パソコンが欲しいユーザーが、わざわざ年末までVistaの登場を待ってからパソコンを買うべきなのだろうか。

 まずはパソコンの新製品が登場する時期をおさらいしておこう。パソコンの新製品は例年「春モデル」「夏モデル」「秋冬モデル」の3回に分けて登場する。新入学・就職をターゲットにした春モデル、夏と冬のボーナス商戦を狙った夏モデル、秋冬モデルというわけだ。ただしここ数年は各モデルの登場時期が次第に早まる傾向にあり、今年の春モデルは一部メーカーが2005年末に発売する事態となった。

●2006年のパソコン市場の動き(日経パソコンの予想)
職場のパソコンとOSを合わせるために、Windows XPを搭載するパソコンを購入しておくという選択肢もある。その場合はVistaへのアップグレードは考えず、XPのままで使ったほうがよいだろう

 今年の夏モデルと秋冬モデルの発売時期は、2005年とほぼ同じ時期になりそう。ただし春モデルが早く登場した影響で、時期がそれぞれ若干早まる可能性もある。

 さらに、2001年にWindows XPが登場する前にはXPへのアップグレードが可能という意味で「XP Ready」と表記されたパソコンが販売されたが、Windows Vistaについても、夏モデルに間に合うかは微妙だが、秋冬モデルでは今年も同じように「Vista Ready」のパソコンが販売されるだろう。


結論−−Vista搭載パソコンの登場を待つ必要はない

 それでは現在売られているWindows XPを搭載したパソコンは買い控えた方がいいのかというと、「そんなことはない」というのが記者の結論。とにかく新しいOSやOfficeを使ってみたいというユーザー以外は、新しくパソコンを買うのなら、慣れ親しんだWindows XP搭載パソコンを買ってもう数年XPを使い続けるという選択肢もありそうだ。

Vistaになれば表示方法がXPとはかなり変わる。スタートメニューが透けていてIEの表示が見えるのも分かる(画面は開発中のものです)
ソフトを切り替える際にウインドウを斜めに重ねて選択する機能も入っている

 記者も先日開発者向けに配布されたWindows Vistaの日本語版ベータに触れる機会があったが、Windows XPとは操作の作法が違う部分があるため戸惑う場面が少なからずあった。また新しいユーザーインタフェースの「Aero Grass」はアニメーション表示が多用されたり、ウインドウが透けて表示されたり、ある意味で「かっこいい」のは確か。しかしグラフィックへの負荷が大きく、現在のチップセットに統合されたグラフィック機能では、今後のチューンアップを見込んでも限られた機能しか使えそうにない。Vistaのフル機能が使えるのは、現状ではハイエンドの機種だけに限られそうだ。

●Vistaではハイスペックが要求される
Windows Vistaの全機能を引き出すためには、XPモデルよりも高いスペックのパソコンが不可欠。特にグラフィックス機能への要求は高そうだ


「Vista Ready」パソコンでもOSアップグレードには不安が…

 それならWindows Vistaが登場する前に、「Vista Ready」のXPパソコンを買って、あとからVistaにアップグレードすればいいと思うかもしれない。

 しかしそこで5年前の状況を思い返してみよう。XP Readyのパソコンであっても、XPをインストールするにはBIOSのアップデートが必要だったり、一部の機能が使えなくなったりする機種があり、OSのアップグレードはそれほど簡単な作業でなかったのを実感した人も多いはず。今回もハードウエアに要求されるスペックが高いだけに、Vista Readyになっても不安があるのは確かだ。

 またこれから数年間はXPを使っていても特に不満を感じる可能性が少ないのもポイント。なぜなら、今後新しく発売されるソフトがWindows XPに対応しないというケースはまずないからだ。これまではWindowsが「95」→「98」→「Me」→「XP」と1〜2年という短い周期でOSが変わってきたのに対して、XPがVistaに変わるまでには5年という長い期間がかかった。そのため日経パソコンの調査では読者の8割弱がXPユーザーとなっている。

 98やMeについては最近のソフトでは対応外となっているものが増えているが、今後も絶対数が多いXPユーザーを捨ててVistaのみに対応したソフトが出てくる可能性は当面ないだろう。一般ユーザーにもっとも恩恵がありそうなInternet Explorer 7は、現在のWindows XPでも動作する。もちろんVistaには64ビット対応などのメリットもあるが、Vistaに最適化されたソフトが出そろって恩恵を享受できるのはしばらく先になるだろう。

 となると今パソコンが欲しい人が、あえてWindows XPを回避して、「Vista待ち」をする意味はさほどないのではないかと記者は考えるのですが、いかがでしょうか。

(庵地 裕彦=日経パソコン)