話題の24M ADSLを導入したが、実効速度はまったく変化なし。24M ADSLの恩恵を受けられるのは、一体どんな人なのか?


 これがADSLの現実なのか。なんだかな〜と、やりきれない気持ちが残った。

 7月24日、これまで利用していた「フレッツ・ADSLモア」(下り最大12Mbps)から24Mbps版ADSLである「フレッツ・ADSLモアII」(下り最大24Mbps)へ乗り換えた。ベストエフォートとはいえ、下りの最大値が倍になるのだ。期待はいや応なしにも膨らむ。

 ただ、いくらなんでも、現在の実効速度(約3Mbps)がそのまま倍になるとはハナから思ってはいなかった。が、それにしてもだ。あわよくば、3メガ! まあ、せめて2メガ、それがダメなら、1メガでもいいから速度アップしてくれよ、と密かに思っていた。拝むような気持ちで、送付されてきた24Mbps用のモデムに付け替えると…。

 だが、結果は期待を大きく裏切るものだった。さっそく速度計測サイトで、実効速度を計ってみたのだが、12Mbpsの時と何も変わってはいないのだ。何度やっても結果は同じ。ありゃ〜、やっちゃったよ〜、と嘆いても後の祭り。

 何かモデムの設定でも間違っているのではと思い、ブラウザーを使ってモデムの設定画面を開き、「現在の状態」をチェックしてみた。すると、ラインモードのところが、これまでの12Mサービスの規格である「G.dmt Annex C」とあるではないか!! 確か、新しく導入された24Mサービスは「G.dmt Annex I」規格だったはず。Annex Cのままでは、従来と何も変わらないのは当たり前。これでは、実効速度の上乗せなぞ、どだい無理な話。


モデムの設定画面。「ADSLの状態」欄に注目。24Mbps版ADSLにもかかわらずラインモードは、12Mbps版の規格である「G.dmt Annex C」とある。下りリンク速度は3840Kbpsで接続中

 で、いろいろと調べてみると、モデム設定に「ラインモード」という項目があり、ここで、Annex の規格を手動で切り替えられるようになっていた。初期状態では「自動設定」だったが、これを「G.dmt固定(近距離)」(Annex Iの設定)に切り替えてみた。そして、再度ラインモードを見ると、めでたく「G.dmt Annex I」となった。よしよしこれでなくっちゃね、と思ったのもつかのま。ここで大問題を発見してしまった。なんと下りのリンク速度が、それまでの3840Kbpsから3234Kbpsに下がっているではないか。

 より高速なはずの規格を選んだとたん、リンク速度が下がるなんて!と驚きつつ、実効速度を計ってみると、それまでの下り3M〜3.2Mbpsから、これまた2.7Mbpsに下がってしまった。「オイオイ頼むよ〜」とぶつぶつ言いつつ再度調べてみると、24Mbps版ADSLというのは、機器の方で回線の状態を判断して最適な規格で接続する仕組みを持っているというではないか。となると、ラインモードの設定のところで「自動設定」とあったのは、そのためかと今さらながらに理解した。


「ADSLモデム設定」でラインモードを変更できる。ただし、手動でG.dmt固定(近距離)=G.dmt Annex Iにしても、回線状況によっては逆効果。自動設定のままが無難 ラインモードを手動でG.dmt Annex Iにしたものの、下りのリンク速度が下がってしまった。ちなみに、上りリンク速度はわずかに上がっている

 ということは、わが家の回線状態では、Annex Iはダメで、Annex Cで接続するしかないということ? それじゃ今までと変わるわけないじゃん!と思わず叫んでしまった。

●どのようなユーザーが24Mの恩恵を受けられるのか?

 NTTが提供している「電話回線の線路情報」(http://www.ntt-east.co.jp/line-info/)で計測したわが家の回線条件は、下記のような結果が出ている。

・線路距離長(エンドユーザ〜NTT収容ビル)2230m
・伝送損失 38dB

 これは、条件としてはお世辞にも良いとは言えないらしい。どうも、このような回線状態では、12Mから24Mにしても、まったくもって何も変わらないということか。だとしたら、サービス申し込み時に、一言ぐらいアドバイスがあってもいいようなものだが…。では、どういったユーザーが24Mの恩恵を受けられるのだろう。いろいろと聞いて回ったのだが、どうもハッキリした結論に達しない。

 ある情報では、局までの距離が2km以内であればメリットはあり、伝送損失が25dBを超えると速度の上乗せは期待できないとある(こちらの記事を参照)。また、ある人は、伝送損失が28dBを超えた状態でも、約2Mbpsのスピードアップを実現したという。それじゃあ、結局のところはやってみなきゃわからないと言うことカイ? エーディーエスエルってやつは、と半ば投げやりになってしまったのだが、現状では、周りに24M版が開通している人があまりいないので、なんとも判断がつかない。

 読者の方で、24Mbps版ADSL(Yahoo! BBやアッカ・ネットワークスの26Mbps版も含む)を利用している人は是非、下記のフィードバック欄に、伝送損失や速度などの情報と共にコメントを寄せてください。みんなで24M ADSLの導入基準を考えませんか?

 それにしても、これでは乗り換え費用3050円は何だったのか…。あ〜あ。


筆者紹介山崎潤一郎yamasaki@geomet.gr.jp
1957年生まれ 蟹座のO型。本職は音楽制作会社のディレクターだが、インターネットに興味を持ち、ひょんなことからプロバイダーを評価する書籍を執筆。以来ネット系のライター稼業にも精をだす毎日が続いている。週刊アスキー、インターネットマガジン等に執筆。近著に『株の買い方・売り方が面白いほどわかる本』『稼げるIT資格親切ガイド(共著)』(中経出版刊)がある。 西日本新聞 「デジタルQ」連載「また買ってしまった」、Yahoo! Internet Guide連載「高速インターネット入門」も好評連載中。